北海道内の環境系の社会的企業に関する包括的な把握を目指して開始した本研究は、社会的企業の範囲の確定の難しさを乗りこえることができず、当初の目的を十分に果たすことはできずに終わったと結論せざるを得ない。他方、本研究では、道内外の再生可能エネルギーに関わる諸団体のケーススタディおよび道北地域における再生可能エネルギーによるまちづくりの取り組みのフィールドワークを通して、以下の知見を得ることができた。 第一に、自然保護系の団体で比較的NPOを選択するケースが多くみられたのとは対照的に、再生可能エネルギーの分野に限定すれば、NPOという組織形態を選択するケースもあるが、到達目標に応じて任意団体・社団法人・株式会社・財団法人など、多様な形態が選択されていることが確認された。特に、再生可能エネルギーの利用に積極的な団体ほど、株式会社を選択する、いわゆる事業化のモメントを重視する傾向がみられた。また、企業については、他業種からの再生可能エネルギーへの参入も多数見られるようになっている。 第二に、再生可能エネルギーによるまちづくりは、安倍政権の政策(地方創生)によって、調査段階の取り組みは大いに活性化しているものの、具体性の程度は、それ以前の取り組みのあり方に大きく依存していること、つまりは、地方創生という中央の政策は積極的に再生可能エネルギーによるまちづくりに取り組んできた地方の努力の後押しにはなっても、取り組みのなかった自治体での新規の事業に結びつくような起爆剤にはなっていないことが確認された。 第三に、美唄自然エネルギー研究会の取り組みがデータセンターの雪冷房導入の実現に近づいていたり、稚内新エネルギー研究会のアイスシェルターの取り組みが勇知いもという地域ブランドの創生に結びついたり、一部の取り組みが結実の時期を迎えつつあることが確認された。
|