本研究では韓国(朝鮮半島)で作られた「文化」テクストが越境する際、コリアン・ディアスポラ・コミュニテイのなかでどのような交渉過程を経て受容されていたのかについて社会学的視点から明らかにすることを目的とした。この研究から得られた知見は、1)先行研究などにおいては1965年の日韓基本条約により日韓及び両国と在日朝鮮人との関係が変化を迎えていたとされていたが、本研究では1964年の東京オリンピックが韓国の「文化」テクストを在日朝鮮人側に受容させる大きな役割を果たしていたこと、2)帝国日本において作られた「文化」テクストの越境には在朝日本人及び在日朝鮮人側の存在が大きかったこと、である。
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