本研究の対象地は中国内モンゴル自治区のジョウ黄旗であり、事例研究という手法を用いて、定住化による牧畜地域社会の変容と今後の展望を明らかにすることを目的としている。 1980年代初頭から今日に至るまでいくつかの現代化政策および環境保護政策を経て、牧畜民の生活と生産は都市的生活様式が浸透するとともに、従来通りの放牧から酪農とチーズ生産へといった生産様式の変化が見られる。現代化が進む一方で、牧草地不足と生活と経済面両方における不安定が明らかになった。生産様式だけにとどまらず生活のあり方もまた多様化せざるをえず、地域の共同生活が困難となっていることが明らかになった。
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