研究課題/領域番号 |
26380669
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
マリー ケオマノータム 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (30241855)
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研究分担者 |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | タイ / バンコク / 地域社会開発 / カナカマカーン・チュムチョン / 新中間層 / 都市中間層 / 新興住宅管理組合法人 / 2000年土地開発法 |
研究実績の概要 |
本研究は、バンコクの地域住民組織による地域共同管理の動向と課題を現地調査によって明らかし、地域共同管理をめぐる「制度」と「主体」の関係の在り方を考察することを目的としている。タイ政府によって提起されたコミュニティ政策のもとで、バンコクをはじめとする都市自治体においては、チュムチョンおよびカナカマカーン・チュムチョン(地域委員会)の組織化が進んできた。一方、近年拡大してきた新中間層の主要な居住地である新興住宅地においては、新興住宅管理組合法人(ニティブッコン・ムバーンチャッサン)が組織されている。 本研究では、地域委員会と関係行政機関を対象とする聴き取り調査を実施するとともに、バンコク都のすべての地域委員会を対象とする質問紙調査を行った。またバンコクとの比較を目的としてバンコク近郊都市であるパークレット市を対象とする調査も実施した。 これらの調査研究をとおして、バンコクをはじめとする都市自治体において制度化されてきたチュムチョンおよびカナカマカーン・チュムチョンは、官製の行政区的な性格と住民自治組織としての性格をあわせもっていることが明らかとなった。カナカマカーン・チュムチョンは、①行政によって制度的に認知された「地域区画性」と、②住民と行政を媒介する組織として住民と行政の両者から正当性を付与された「地域代表性」をもち、③地域社会開発のための行政的必要から組織化された「行政末端組織」であると同時に、④経済、社会、物的、保健衛生、精神という各面にわたる包括的機能を担う「地域共同管理組織」である。一方、新興住宅管理組合法人を担い手とする新興住宅地における住民による地域管理は、将来にわたる財政的・技術的・人的な担保を欠いており、将来的な持続性という点で大きな問題を抱えていることが明らかとなった。
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