研究課題/領域番号 |
26380674
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
杉原 名穂子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00251687)
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研究分担者 |
原 珠里 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (30355466)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ジェンダー / 社会関係資本 / 地域社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会関係資本のジェンダー差と権力構造について、大都市、地方都市、農村部とそれぞれの地域で調査を行い、ジェンダー公正にむけた資本創出のあり方を検討することを目的とするものである。今年度は実査によるデータ収集に主眼をおき研究をすすめた。地方都市における数量調査は前回の科研調査で実施ずみであり、その後の聞き取り調査および、大都市部と農村部における数量調査を実施した。また、次年度以降の聞き取り調査の準備もあわせて行った。 まず、数量調査について調査票と調査地点を検討した。ジェンダーと社会関係資本の先行研究について考察を加え、地域活動やインフォーマルな活動を行う上で、家族による影響の有無をはかる質問項目を調査票に追加した。調査地点については大都市部として東京都世田谷区を、農村部として和歌山県古座川町を選出した。古座川町は調査予定にはなかったが、女性の活動が活発な農村部ということで、地域での社会関係資本がどのように関係しているかはかるために選んだ。2015年2月から3月にかけて両地点において住民基本台帳による標本抽出作業を行い、世田谷区については郵送調査を実施、2089票の標本に対し回収率は現在、26.8%である。古座川町については3月に現地に赴き、平井集落で農業に従事している方から地域についての情報を収集した。郵送調査については4月に実施する予定である。 地方都市の調査地点である新潟市については聞き取り調査を実施した。調査協力を申し出てきた方10名に地域での活動、親族や友人ネットワーク等について個別にインタビューを行った。居住年数が長すぎず短すぎず、20年ぐらいの住民に地域への満足度が高く、また女性が男性よりも地域活動をささえている現状が語られており、今後、分析をすすめていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画では、基礎となる資料収集と学説の把握を行い、年度後半に質問紙調査を実施すること、新潟市住民への聞き取り調査は先行して実施することであったが、おおむね計画通りに実施された。サンプリングの交渉および作業の関係で、実際の数量調査は2015年3-4月とやや遅れたが、十分に予想の範囲内である。調査地点を当初の新潟県村上市朝日集落からより女性の活動が活発と思われる和歌山県古座川町に変更したが、それにより主体的に六次産業に女性が関わる地域での社会関係資本の現状について分析を行うことを目指す。調査地点の変更にともない、東京都に3000票、回収率を20%、600票あたりを見積もっていた当初の計画から、古座川800票、東京都には2000票の配布と変更、現在、26.8%の回収率で560票ほど返送されており、目標に近い標本を確保した。
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今後の研究の推進方策 |
数量調査の集計・分析、および聞き取り調査の実施の二つの柱を平行してすすめていく。数量調査については、前年度からひきつづき、古座川町の郵送調査を4月に実施、世田谷調査とあわせて回収した調査票にエディティング・コーディング・データ入力・データクリーニング(外部委託)等の作業を行う。データが確定したのち、6月をめどに集計し、調査協力者で希望する方に集計票を送付する。その後、三地域の比較分析をおこない、成果としてまとめる。 聞き取り調査については、協力者を対象に今年度から来年度にかけて順次実施し、データを収集する。世田谷区には申し出た住民を対象に、古座川町についてはゆず平井の里に注目し、その従事者に聞き取りを行う。当初の予定調査地であった新潟県村上市朝日集落での聞き取りも合わせて行い、農村部での女性の活動とネットワークの現状を比較する。これらの調査を総合し、この研究の課題である結合型社会関係資本とジェンダー要因の関連、女性の資本転換についての考察をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
数量調査のうち、年度内に終える予定だった古座川町の調査が2015年4月実施にずれこんだため、そのためにかかる経費(調査票印刷費、郵送費、謝金など)、また3月実施の世田谷区調査の督促状の経費(ハガキ代、物品費、謝金など)が次年度使用に持ち越しとなった。東京都世田谷区におけるサンプリングの費用が予定より安価におわったことも、次年度使用額を生じさせることになった。調査時期の2ヶ月のずれにより、調査データ入力の見積もりが5月に変更になり、聞き取り調査のテープおこしについて次年度まわしになった。
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次年度使用額の使用計画 |
年度末からの調査を年度頭に実施する。二箇所の数量調査を終わらせ、そのデータ入力による費用、単純集計のインフォーマントへのフィードバックに予算を使用する。その後は聞き取り調査を行うための費用、旅費およびテープおこし料金として使用する。
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