研究課題/領域番号 |
26380675
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 涼子 金沢大学, 人間科学系, 教授 (80262541)
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研究分担者 |
森山 治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (40322870)
奥田 睦子 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (90320895)
沢登 文治 南山大学, 法学部, 教授 (40247672)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アドボカシー / 権利擁護 / 福祉 / NPO / 当事者 / 参加 / 障害者 / 政策 |
研究実績の概要 |
1. 障害者施策および関連領域の政策の動向と当事者の権利擁護に関わるしくみ、福祉NPOの活動及び政策参加について、文献及び海外諸機関のHP等インターネットで情報収集と各国比較を行った。アジアの福祉システムに関しては、「東アジア型福祉国家」モデルや「第四の世界」といった新たな類型論やこれらへの批判を検討した。合わせて研究協力者と連絡をとり、次年度以降のマレーシア等での海外調査に向けた準備を進めた。 2. エスピン=アンデルセンの福祉レジーム論で社会民主主義型として分類される北欧のフィンランドでは、障害者施策や当事者運動、福祉NPOの活動基盤が発展しているが、国連障害者権利条約については、同じ北欧のスウェーデンやデンマークとは異なり未だ批准していない。今年度、再び批准に向けて国会への法案上程が行われたので、議論の論点や障害当事者運動の動向等を現地で調査した結果、条約の理念を厳格に体現化することに関係者間で大きな異論はない一方、それゆえの法案審議の遅れという状況があり、社会民主主義型の類型内での独自の課題が明らかになった。なお同時にフィンランドの研究協力者と、フィンランド国内及びアジア・アフリカの発展途上国における当事者運動や福祉NPOの動向について情報交換を行い、次年度の公開研究会開催の打ち合わせを行った。 3. 以上の研究成果や本研究の構想に関し、International Sociological Association 18th World Congress of Sociology(世界社会学会議横浜大会)において研究発表を行ったほか、論文や著作執筆を行った。さらにNordic Network on Disability Research(北欧障害学学会)の2015年5月の研究大会で本研究の成果や構想に関する研究発表を行うためにアブストラクトを投稿し受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は研究課題の立ち上げのため研究グループ内で情報共有を行うとともに、欧米およびアジアに関する政策動向や福祉レジーム論に関する資料収集と海外での動向調査、そして次年度以降の海外調査、公開研究会開催に向けての準備といった作業を中心に行った。論文や著作執筆はそれぞれの研究分担者が行う一方、国際学会での研究発表及び発表準備(研究成果発表のためのアブストラクト投稿と受理)を行ったこと、資料収集に基づき次年度のマレーシア等での海外調査の打ち合わせを進めたこと、公開研究会の計画がスムーズに進行していること、等、研究は計画通りに進展している。従って、欧米・日本に加えて既存研究が少ないアジア及び発展途上国における現状との比較をふまえて、NPOの成立基盤、施策の進展とNPOの関与のプロセスとの連関、障害をもつ当事者と政府との関係性を検証し、様々な福祉ニーズをもつ当事者の主体的な社会との関わり方を検討するという本研究の目的の達成に向けて、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に特に変更はなく、引き続き欧米およびアジアに関する政策動向や福祉レジーム論に関する資料収集を行うとともに、研究分担者・研究協力者とともに現地調査を行う。公開研究会では研究分担者・研究協力者との交流を進め、資料や記録をまとまった形で公開できるよう報告書の作成をめざす。また研究成果の学会報告や論文執筆も引き続き進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査時に現地のコーディネーターを利用する予定だったが、実際には利用しなかったので、謝金として予定していた分が残額となった。物品購入などの際の端数も残額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力者を招聘して行う公開研究会の開催に際して、為替相場の変動や開催時期により旅費が当初計画を上回る見込みのため、その補充とする予定である。
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