研究課題/領域番号 |
26380675
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 涼子 金沢大学, 人間科学系, 教授 (80262541)
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研究分担者 |
森山 治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (40322870)
奥田 睦子 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (90320895)
沢登 文治 南山大学, 法学部, 教授 (40247672)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アドボカシー / 障害者 / 政策 / 参加 / アジア / 比較研究 / 福祉国家 / NPO |
研究実績の概要 |
本研究は、アドボカシー機能をもつ福祉NPO・NGOとして、近年、障害者政策形成に大きな役割を果たしている障害当事者団体Disabled People's Organization(以下DPO)の活動に焦点を当ててきた。研究期間後半には特に、アジア諸国でDPOが形成され障害者政策に参画しうる諸条件を調査して欧米諸国と比較検討し、最終年度には以下の知見を得て論文執筆、国際学会発表等を行った。 ①長い障害者運動の蓄積を経て2009年の政権交代を機に、障がい者制度改革推進会議の設立によってDPOが政策参加へのフォーマルな基盤を確立した日本と、民主化運動や市民運動を源流とするDPOが、2000年代に障害者福祉に関わる政策課題ごとに「連帯」を形成して法制化を実現させてきた韓国の事例から、国内の政治状況に素早く対応し障害種別や理念の違いを越えるDPOの現実的な戦略が重要である。日本では2016年に相模原市の障害者施設で元職員による入所者殺傷事件が起こり、障害者の社会的包摂が未だ不十分ななかで、施設から地域へという障害者政策改革のあり方をめぐる立場の違いを乗り越えてDPOが連携する必要性が増加している。 ②社会主義体制下で国内でのDPOの結成や海外NGOの活動に制限がありつつも、近年、DPOのアドボカシー活動の伸長が著しいベトナムの事例から、開発援助の枠組みと国連障害者権利条約の批准という国際協調をふまえた国内外の連携戦略が重要である。 ③福祉国家形成に関して欧米諸国に対して後発とされ、市民活動やNPOの法的基盤の整備の状況に差の大きいアジア各国のDPOのアドボカシー活動にとって、欧米諸国のNGOやDPOとのネットワーキングは重要だが、経済的・社会的に格差が大きく様々な状況におかれている当事者を包摂して活動を進展させるモデルとなりうるか、支援をどのように取り入れるべきかは、新たな課題である。
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