本研究は、1990年代以降のグローバリゼーションの新たな進行と2008年の「リーマン・ショック」以降の世界不況の影響の下での諸企業のイノベーションの動向を、浜松の輸送用機器製造業企業を主な事例として検討するものである。調査の結果、諸企業は、市場ニーズからEV化等新製品開発に伴う新部品への対応や従来部品加工の改良などに取り組み、その中で一部の企業は、かなり優位性のある新技術開発もしている。他方、従来型技術の応用で、健康医療分野や新農業分野への展開を図っている企業もある。これらの背景には、各企業の技術者のプロジェクト参与による業務改革への取り組みがあり、技能者との密な連携も見られた。
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