本研究では、暮らしの中に埋もれた女性力を掘り起こすことを通して、戦後の農業・農村発展史の中に女性を位置付けた。戦後に地域農業や農村社会が劇的に変化した際、女性は男性同様に土木作業に従事するなど地域発展を下支えし、社会的な変化に柔軟に対応することで自家農業の発展を指向し、食をはじめとする日々の暮らしを成り立たせた。稲作の機械化初期段階から大型化までの男女の農作業の変化を詳らかにしたことで、機械導入の初期において女性の作業が重労働化したこと、女性が稲作農業の技術から切り離された経緯や稲作から退去した端緒も明らかにすることができた。
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