研究課題/領域番号 |
26380681
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
速水 聖子 山口大学, 人文学部, 准教授 (90271098)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 学童保育 / コミュニティ / 公共性 |
研究実績の概要 |
27年度は、前年度に行った学童保育の歴史的背景と政策的展開のまとめに基づいて、大都市と地方都市での学童保育の展開の相違について比較調査した研究成果を2つの学会において報告を行った。また、これらの研究成果は論文としてまとめ、28年度に学会誌に掲載予定である。 さらに、学童保育の実態調査について、補足調査を大都市部2つ、地方都市1つの合計3つの学童保育において行った。特に、調査の観点は、当事者である保護者運営の歴史をもつ学童保育が、制度化に伴い、どのように変容し、あるいは対応しようとしているのかにおいて、聞き取り調査を中心に行った。市町村ごとに制度化のあり方も異なる中で、保護者運営を市民活動的にNPO化するなど、従来の運動的な学童保育の形態が大きく変化していることが明らかとなった。また、当事者としての保護者運営を継続するために、制度化への柔軟な対応を図ろうとする努力が行われていることも実態から把握することができた。 補足調査に加えて、27年度は地方都市1市において保護者運営による学童保育に協力を仰ぎ、利用者である保護者へのアンケート調査を実施した。保護者の地域社会関係のありかたやコミュニティ意識・教育観や子育て費用の実態などをふまえ、保護者が学童保育に期待する役割や当事者としての保護者運営への参加意識について調査を行った。詳しい分析は28年度に行うが、全体として現在の働く保護者が教育・子育てへの高い熱意を持っているが、当事者として学童保育運営に関わることについてはあまり積極的ではないという現状が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、事例調査とアンケート調査の2つを過年度に実施することがおおむねできているため、研究課題についてはだいたい計画通りに進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、保護者アンケート調査の詳しい分析を進めるとともに、調査結果を補足する意味で、保護者や指導員へのインタビュー調査も実施したいと考えている。 同時に、事例調査における補足調査も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、当初の予定よりも遠隔地の事例調査が少なく、経費が抑えられているためである。また、人件費はデータ入力の作業がスムーズに進み、当初の予定よりも経費が抑えられたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
事例調査を実施することと研究成果の報告のための学会への参加予定があるため、旅費についてはその分として使用する予定である。人件費については、データや資料の整理において費用負担が生じるため、その分として使用する予定である。
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