ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州及びバイエルン州において、合計4つの自然エネルギー村でインタビュー調査を実施することができた。プロジェクトの中心的役割を担う人物を主な対象とし、保守傾向の強い両州の異同といった論点を中心にインタビューを実施した。村長や自然エネルギー事業会社管理職を含インタビュー調査では、両州には多くの共通点があることが明らかになった。たとえば本研究で独自といえる「価値的保守」や「根気強く取り組み発明する」といった視点である。前者は、「古い物を慈しむ」といった考え方であり、場合によっては宗教的意味合いを持つ。これまで環境運動といえば、革新志向に関し言及される傾向があったが、改めて保守的な地域における環境運動の特殊性が明らかになったといえる。後者は、資源がない地方で工夫して発明を重視するという技術者魂を象徴している諺であるが、保守的な地域にあっても技術の重要性を重視した地域が、自然エネルギー普及に貢献していると考えられる。 両州の相違としては、宗教的視点(バーデン・ヴュルテンベルク州は比較的プロテスタントが強い州、バイエルン州は比較的カトリックが強い州)が有効であるという傾向が見られた。インタビューではまた、ドイツの大学で自然エネルギー関連科目があり、自然エネルギー村でインターンを行っている事例なども見られた。 産学官が連携して、自然エネルギーを活用した資源の活用を推進していることが明らかになった。
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