これまでドイツの反原発運動に関しては、社会学の領域では「リスク論」「新しい社会運動」といった切り口でおもに検討されてきた。しかし、これらの理論は、自然エネルギー村の分析に必ずしも用いられてこなかった。本研究では、ドイツの自然エネルギー村でインタビュー調査を実施した。インタビュー調査の結果、バーデン・ヴュルテンベルク州とバイエルン州といったドイツの中でも保守傾向が強い地方においては、自然エネルギー推進にあたって「価値的保守」の視点が有効であることが明らかになった。そして「価値的保守」は、宗教的意味合いを持つことがあり、日本との相違が明らかになったともいえる。
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