最終年度は、2014年度からはじまった地方創生(まち・ひと・しごと創生)政策の展開と、限界集落・過疎問題の関係性について、ここまでの調査研究結果に基づいて取りまとめを試みた。 本研究でたどりついた2010年代問題は、インフラと人口の適正規模・適正配置の問題である。 1970年代までに国内で生じた全国的な人口移動の結果、人口の過疎・過密が生じた(人口の不適正な配置)。しかし90年代までは全総及び過疎法などによって、過疎・過密前の人口配置を元に財源及びインフラの配備が行われたため、2000年代の世代転換期(戦前生まれから戦後生まれ世代へ)には、東京一極集中を緩和し、都市から農村へと移る世代循環の可能性が残っていた。2000年代以降、現状の人口分布に近づけたインフラ整理の考え方(選択と集中、効率性など)が進むと、インフラの不均衡な配置が目立つようになる。そしてこのことにより人口の過疎・過密がとまらなくなり、大都市部に若年世代が集中したため出生率の低下が生じ、人口減少もとまらなくなってしまった。 その対応課題としては、人口の理想的な適正規模・適正配置をまず割り出し、それに合わせたインフラや財源の配置を計画することがあげられる。都市周辺の過剰なインフラを適切に縮小するとともに、都市・農村の人口の適正な配置をうながしていく。そのための人口計画と都市・農村計画の連動の必要性を、地区割/世代割による空間/時間マネジメントを確立していく手法を中心に確認した。
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