家族関係の多様化にも関わらず、今なお、大多数の日本人にとって、「家族とは血縁で結ばれた親子を基本にする」という家族観(産むことと育てることを直結させる規範 --- これを直結規範と呼ぶ)が根底にある。この家族観は、「血縁のない親子をも前向きに認める」家族観(産むことと育てることの分離を是認する規範 --- これを分離規範と呼ぶ)と対立し、養子縁組家庭の存在を意識的・無意識的に疎外している。 本研究では、圧倒的多数派(直結規範)による支配的言説と、これに対する圧倒的少数派(分離規範)の対抗言説を、言説領域ごとに検討した。第2に、学校教育の中で、分離規範の作用権を拡大する授業実践を試みた。
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