研究課題/領域番号 |
26380691
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研究機関 | 青森大学 |
研究代表者 |
佐々木 てる 青森大学, 社会学部, 教授 (70396597)
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研究分担者 |
田中 志子 青森大学, 社会学部, 准教授 (20315568)
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
櫛引 素夫 青森大学, 社会学部, 准教授 (40707882)
柏谷 至 青森大学, 社会学部, 教授 (50316329)
石橋 修 八戸学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90269233)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 外国人・移民政策 / 多文化共生 / 人口減少 / グローバリゼーション / 国籍制度 / 在日コリアン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、人口減少によって基幹産業や地元文化に影響がでつつある地域において、積極的に外国籍者を活用でき、さらに彼らを将来的に国民へ編入できるような「外国籍者の社会統合政策」のモデルを構築することにある。具体的には少子高齢化が進む青森県を事例に研究を進めている。特に青森市、弘前市、八戸市、三沢市を中心に外国籍者の現状をまとめ、地域の再活性化につながる活動や政策などを模索している。 学術的には次の3点が研究目的となっている。①多文化共生から外国籍者の「社会統合政策」へ一歩すすんだ議論を行うこと、②ニューカマーとオールドカマーの議論を接合しよりよい「日本型移民社会のモデル」を構築すること、③地域研究と移民研究の複合領域の研究をすすめ日本社会の課題を相補的、すなわち「グローカル」に考察することである。この三点のうち、①と③に関しては特に調査がすすんでいる。 平成26年度は、青森市の国際交流協会、日本語学校、市の国際交流員に聞き取りを行い、市の現状を把握した。さらに三沢市の多文化共生に関する調査を進め、青森県が主催する「学生発未来を変える挑戦プロジェクト」でその成果を報告した。内容は報告書にまとめられ公刊された。そこで指摘した点は地方都市においては「交流人口」「共生人口」「循環人口」の三つの視点からの人口政策が必要であり、それぞれの人口を増加させるための政策が求められている点である。「交流人口」「循環人口」が「共生人口」に結びつくかどうかも含め、今後さらに調査をしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定では1年目は状況把握の予定であったが、すでに三沢市の調査およびその報告など一部成果が見られた。特に三沢基地周辺で働いている日本人、米国人の双方に話を聞き、その共生の歴史的背景を理解できたことは大きい。同時に米軍基地で働いている方や、行政で「交流人口」を増やすための努力をしている担当者の意見も参考なった。 また青森市の国際交流の状況や、外国籍者に対する政策などの問題点も徐々に把握しており、全体としておおむね順調にすすんでいるといえるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は八戸市の調査が主たるものとなっている。特にフィリピン人の人口が多く、集中的に調査を行う予定である。平成26年度で得た知見として、「交流人口」の重要性であった。三沢市では多文化を中心とした「交流人口」増加の試みがあったが、今回の八戸調査と比較していく予定である。同時に漁業関係で研修生が来日しているとの情報も入っている。その点を調査し、青森県全体の外国籍者受け入れの現状を徐々に把握していく予定である。 また、青森市の民間団体、行政の機関にも継続的に聞き取り等を行い、来年度の成果報告会(シンポジウム、勉強会)に向け基礎を固めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に聞き取り調査の対象が、三沢市および青森市内であったため、調査旅費が押さえられたことが第一の理由としてあげられる。今後弘前市、八戸市の調査は規模が変わってくるために、旅費等の配分が今後変化することを考え、若干余裕を持たせた予算消化となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に申請した予算額のうち、特に調査旅費、人件費・謝金、そのほかの経費を27年度に使用することとする。八戸調査を集中的に行うため、旅費および人件費・謝金の追加支出が見込まれるが、前年度の繰り越し額を充当しさせフィールドワークを実施する予定である。また昨年度の調査結果を学会で報告する予定があり、旅費の支出が増加する可能性があるため、経費の配分を心がける。
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