研究課題/領域番号 |
26380693
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
小林 宏美 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (30614490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際社会学 / エスニシティ / 言語的マイノリティ / 多文化共生 / 社会学 / 多文化教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1)移民受け入れの歴史の長いアメリカ合衆国における英語を母語としない児童生徒の教育の取り組みや制度を調査し、(2)日本の教育現場における事例研究を行い、(3)両国の状況を比較しつつ、児童生徒の教育達成や社会適応という観点から、言語的マイノリティ生徒の課題を明らかにし、その具体的解決策について検討することを目的としている。 平成27年度は、アメリカにおける調査研究として、1980年代以降エルサルバドルやグアテマラ等の内戦を逃れてロサンゼルスにたどり着いた避難民たちに住居や食料の提供をはじめとする様々な支援活動を行い、現在は定住したそれら住民の日常生活の支援を行っている教会(カトリック教会および宗派を問わない教会)とその付属の支援団体を訪問調査した。教会の司祭と支援団体の代表に、教会の歴史や地域住民との関わり、教会の果たす役割等について聞き取り調査を実施した。また、以前から継続調査をしているヒスパニック系児童が多数を占める小学校において、授業見学および教育プログラムについて教職員への聞き取り調査を行った。日本における調査については、神奈川県の高校で外国籍生徒への取り出し授業の見学や教師と生徒への聞き取り調査を行った。さらに、日米双方において文献資料の収集にあたった。 この1年の調査研究から、アメリカ公教育の教育政策ならびに学校現場では、ブッシュ政権時代に制定されたNCLB法にもとづく全米の教育スタンダードの要請やアカウンタビリティと成果重視の方向性が、各州への権限委譲により州の自主性の尊重という方向性へ変化しつつあることや、地域の教会が住民にとって信仰の拠り所であるだけではなく、住民の生活にとって身近なサポート組織としての役割を果たしている可能性のあることが示唆された。日本の調査においては、外国籍生徒の卒業後の進路の傾向に若干の変化が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおりに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費が想定した額より安価だったためと海外旅費について所属機関からの補助があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品費と旅費として使用する。
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