最終年度となった本年度は、(1)本研究の当初からの目標であった「性的マイノリティへの寛容性」の意味内容の分析を行った。具体的には大阪のNPOへのインタビューを行い、取り組みを聞いた。そのヒアリングで興味深かったのは、部落差別などの人権問題に取り組んできた組織のサポートにより、2000年頃からの性的マイノリティへのサポートが広まったということである。こうした観点からの調査は次の研究においても追及していく予定である。(2)昨年度まで数年間学内において提言を行って来た「通称名使用」などを認めるルールと、性的マイノリティをサポートする大学組織の運営が開始された。具体的には2018年にサポートセンター内の総合支援室に性的マイノリティ等への相談窓口を作った。専門相談員と窓口運営チーム(総合支援室長補佐=石原、総合支援室管理職1名、学生サポートセンター1名)である。サポートセンターでは学生にインターネットでセクシャリティに関する匿名アンケートをとったところ、授業でqueer studiesを必修にしてほしい、Xジェンダーの知識をもつ人の講演会を聞きたい、LGBTの当事者とのディスカッションの場が欲しいなどの声があり、こうした不可視のニーズを可視化することも本研究で達成できたことであると自負できよう。
|