研究課題/領域番号 |
26380707
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
高須 裕彦 明治大学, 研究知財戦略機構, 客員研究員 (40533964)
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研究分担者 |
青野 恵美子 明治大学, 研究知財戦略機構, 客員研究員 (50533965)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会運動ユニオニズム / 労働運動 / 労働組合 / 労働者センター / コミュニティ組織 / 最低賃金 / 再活性化 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
2015年9月に、ニューヨークの産業別労働組合や労働者センター、コミュニティ組織を訪ね、聞き取りと資料収集を行った。 ニューヨーク市立大学の研究協力者2名と面談し、調査研究への助言をいただいた。2015年10月と11月に来日したアメリカ人研究協力者2名と面談し、調査研究への助言をいただいた。それぞれを講師に、2回にわたり一般公開の「社会運動ユニオニズム研究会」を開催し、米国の労働運動の現状と最低賃金引き上げ運動に関して報告いただき、研究者や実践家と議論した。2016年2月に反貧困ネットワークに招待されて、実践家向けの公開講座で米国の最低賃金引き上げ運動に関して報告し、日本の労働運動・社会運動が学ぶべきものについて議論した。ビデオ撮りした労働者センターを活用したファストファッション店の組織化に関するインタビューはYouTube上で公開した。 以上の研究活動を通じて、以下の知見を得ることができた。 1.最低賃金引き上げ運動は、東西両岸の主要都市やカリフォルニア州で15ドルへの引き上げを勝ち取り、適用対象地域の労働者の約4割に影響を与える重要な成果をあげている。その実現には、労働組合と労働者センター、NGO、コミュニティ組織などとの連携が重要な役割を果たしている。 2.使用者が呼び出し労働などを活用して、労働時間を調整しているため、最低賃金引き上げにより時給が上がっても、労働時間が短縮され、収入が減少している事態が発生している。労働時間を安定化させるためには、労働組合を組織化して規制をかけるか、労働者センターや労働NGOによる職場監視が必要とされている。 3.ウォルマートやファストフード店、ファストファッション店を対象とした、産業別労働組合が主導するキャンペーン組織や労働者センターを活用した組織化の取り組みは、未だ実験段階であるが、サービス産業の新しい組織化モデルである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度のニューヨーク調査のフォローアップとして、再度のニューヨーク調査を実施できたので、その後の運動展開と知り、対象を深く理解することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の対象地域をニューヨークとロサンゼルスに限定し、調査対象と信頼関係を形成しながら、繰り返し訪問調査を行う。ワシントン DCのAFL-CIOの本部などは、最終年度に1度訪問して聞き取り調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な書籍購入を検討したが、残高では予算が足りないため、次年度に購入を延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究に必要な書籍の購入、ロサンゼルスなどへの訪問調査の旅費などに使用する。
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