研究課題/領域番号 |
26380707
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
高須 裕彦 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (40533964)
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研究分担者 |
青野 恵美子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (50533965)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会運動ユニオニズム / ソーシャルメディア / グローバル枠組み協定 / シンク&アクトタンク / 最低賃金 / 労働組合 / 労働者センター / Central Labor Council |
研究実績の概要 |
主に2つの調査研究を行った。一つは,西岸の主要都市やカリフォルニア州,ニューヨーク州における最低賃金引き上げに関する調査研究と,もう一つはRWDSU(小売・卸売・百貨店労働組合)とSEIU(全米サービス従業員組合)の組織化に関する調査研究である。そこから得た知見は,以下のとおりである。 (1)いずれの地域でも,AFL-CIOの地域組織であるCentral Labor Council,または,核となるローカルユニオン,シンク&アクトタンクが存在し,最賃引き上げ運動において重要な役割を果たしている。さらに,コミュニティ・グループとの連携を構築し,マスメディアやソーシャルメディアを活用して,社会的なキャンペーンを展開することで,政治家たちを動かして最低賃金の引き上げを実現した。これは社会運動ユニオニズムのアメリカ的な一形態といえる。州や自治体の条例によって最低賃金や休暇などの労働基準を設定する方法は,大量の労働者の労働条件の引き上げを可能とした。 (2)RWDSUは,コミュニティとの連携やソーシャルメディアとグローバル枠組み協定を有効に活用し,グローバル企業のファッション小売店ZARAの千名の労働者の組織化に成功した。この組織化は画期的といえる。 (3)SEIUのファストフード労働者キャンペーンは,コミュニティとの連携に成功し,最低賃金の大幅引き上げを実現した。一方,組織化は今後の課題であるが,2017年にニューヨーク市でファストフード労働者のためのNPOが設立された。さらに,ファストフード店の使用者に,希望する労働者の賃金からNPOへの寄付を控除することを義務付ける条例が制定された。今後の見通しは定かでないが,全国労使関係法の下での組織化が難しいなか,新しい組織化の試みである。 上記の動きが萌芽で終わるのか,さらに発展して拡大していくのか,継続的に調査を実施する必要がある。
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備考 |
青野恵美子・招待講演「労働運動はソーシャルメディアを活用できるか」日本労働弁護団SNS講座、2018年1月12日。
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