本研究の目的は、アメリカの国際放送VOA(Voice of America)と駐留米軍のFEN(Far East Network、1997年にAFNと改称)の2つのラジオ放送が、冷戦期の日本における「アメリカニゼーション」に果たした役割を実証的に解明することにある。1950年代には「短波マニア」が海外放送の受信を行うようになり、1970年代初頭にはBCLブームも巻き起こった。他方、FENについては、口語の英語や最新のアメリカ音楽に触れるために聞くものが増加していった。どちらも本来の意図とは違った受容がなされていた点が共通する特徴であり、これらが相まってラジオという音文化を形成していった。
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