1990年代以降、日本社会に継続的にみられる、昭和年代、とくに昭和30年代が「貧しかったけど、希望に満ち溢れていた」といった肯定的なイメージで語られ、一定の支持を集めている「昭和ノスタルジア」現象。本研究では、そうした過去への郷愁志向と社会意識の実証的な検証を行った。 過去に対する郷愁は、当時を経験した者では懐古という心情から理解できるが、直接体験していない若年層の世代でも、この時代を理想化し憧れを持つ人が一定数存在することが明らかになった。若年層における昭和の理想イメージの形成については、家族成員間コミュニケーション、メディアの影響、他の社会意識との関わりが寄与していると考えられる。
|