研究課題/領域番号 |
26380723
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
荒川 一彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (10434846)
|
研究分担者 |
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
吉田 忠彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (20210700)
谷口 智彦 近畿大学, 経営学部, 准教授 (70581164)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | キャリア / エンパワメント / 社会的包摂 / 組織社会化 / 多文化共生 / 外国人労働者 / キャリア・パス / 日系外国人 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、外国人労働者、特に日系外国人の社会的包摂とエンパワメント(自律・活性化)を促すキャリア・パスの開発とそれを動力とした持続可能な多文化共生社会デザインの方法を探求することにある。平成26年度は、当初計画通り、日系人の集積する東海地域の事例研究を行い、さらに関連する地域(大阪・神戸)の事例研究を加えて、1)個別具体的な質的データ(日系人雇用企業等の人事・キャリア施策および被雇用者の就労・生活実態・キャリアパス、中間団体の多文化共生政策・施策の動向など)および量的データ(外国人労働者・日系人の流出入、定住地域、出身国、就労状況等)の収集・検討・整理を行い、地域活性化を伴うキャリア・パスの検討を行った。申請者の荒川と分担者の東郷、谷口は平成25年のパイロット調査に基づき、フィールドワーク他での収集データを整理・検討に努め、それぞれの視点から分析を行うとともに検討会を複数回開催して連携し、1)日系外国人のキャリア形成パターン、2)日系人を雇用する企業によるキャリアデザイン、に関する仮説を構築するとともに、既存データによる仮説検証を行った。平成26年度は、先行研究(外国人労働者のキャリア研究、組織社会化、移民に関する公共政策等)の渉猟・確認にも注力し、仮説モデルの理論検討を行っている。こうした先行理論および収集データの検討に基づき、仮説構築・検討・内容充実を行った。こうした26年度を通じた研究活動は、学術研究論文および査読付き学会発表(ともに26年度中に論文誌委員会・学会により受諾済み。27年度に実施予定)として具体的成果を生んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度には、平成25年度のパイロット調査及び26年度の統計調査・先行研究レビューを通じて既述の定性的・定量的データの収集と整理を進捗させ、調査データベースの構築・充実を行うことができた。また、理論的背景として外国人労働者研究および新規参入者の社会的包摂(特に組織社会化)に関する先行研究の整理を行い、日系外国人労働者のキャリア・パスに関する仮説モデルを構築するに至っている。こうした成果は、具体的なデータベース(パイロット調査等におけるフィ-ルドワーク(ヒアリング)データの整理・蓄積)として、また、理論整理と仮説モデルは、論文誌への投稿論文および学会発表プロポーザル(ともに26年度中に機関受諾済み。27年度中に公表予定)として結実している。さらのに、27年度に向けた先行探索的調査として日系外国人コミュニティおよび受け入れに関するフィールド調査を神戸において行った。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、当初計画の通り、前年度から継続的に、フィールドリサーチや定量データの収集を通じて、質的・量的データの充実を図る。特に前年度に整理・検討した質的・量的データを、新規の情報収集により補完・充実し、前年度の仮説モデルの有効性を再検証する。平成27年度も、1)日系外国人のキャリア形成パターン、2)日系人を雇用する企業によるキャリアデザインに関するモデルの検証・洗練化に努める。 さらに、26年度中に整理・構築した日系外国人のキャリア・パス、社会的包摂に関する理論整理・仮説モデルの発信・情報交流につとめる。特に、当初計画の国際学会での発表を行い外国人労働者研究で先行する欧米研究者との交流を進める。論文の国内発表、欧州組織学会での報告が予定されている。 同時に、27年度においては、地域共生・生活コミュニティ・社会政策の検討へと発展させ、研究目的の3)日系外国人によるビジネス展開と地域社会に与える影響、4)地方自治体および中間団体(NPO,互助組織等)の活動・社会政策の実態と成果の検討を行う。情報収集と整理は理論的検討・仮説洗練化と並行して継続的に実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該26年度に計画されたフィールドワーク(現地調査)が延期されたこと。それに伴う旅費、謝金、収集記録のテープ起こし・データ整理等の人件費、等の支出が当該年度に発生しなかったことによる。本活動とその経費は次年度に繰り越し発生する。また、当該年度は既存収集データの整理に注力し、新規の文献・データおよびその処理のための物品購入が抑えられたことによる。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度27年度においては、26年度に計画された国内の日系外国人の集中地域・必要団体へのフィールドワーク(現地調査)を計画通り実施する。さらに27年度に計画された国際学会での報告にあわせ海外事情についての情報収集も行う計画である。そのため、海外での情報収集も含む、旅費、データ等収集・整理のための物品費、人件費が発生する。また、移民労働者研究を中心としたの既存文献・データベース等の購入を行う計画である。
|