研究課題/領域番号 |
26380728
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
林 梅 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (20626486)
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研究分担者 |
佐藤 哲彦 関西学院大学, 社会学部, 教授 (20295116)
村島 健司 関西学院大学, 先端社会研究所, 専任研究員 (60707511)
西村 正男 関西学院大学, 社会学部, 教授 (80302652)
荻野 昌弘 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90224138)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 辺境地域 / 少数民族 / 国家 / 開発 / 文化 / 多様性 / 中国雲南省 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中国辺境地域が、市場経済や国家による開発に組み込まれる過程で、均一的な文化の受容を通して地域社会を変容させながらも、少数民族独自の伝統や文化をどのように継承しているのかを明らかにすることである。また、そこから、文化的多様性や多民族共生のあるべき方向を明確にするための知見を提供していくことである。 上記の目的を達成するために、初年度である平成26年度は、本格的な近代国家の形成を意味する中華人民共和国成立以降、辺境地域と人びとを国家制度のなかに組み込んでいくなかで、雲南省に大きな変化をもたらした下記の二つの動きに注目してきた。一つは、「民族識別工作」による民族名称の確定であり、もう一つは、国内の改革開放とグローバル化による辺境地域の文化変容である。 現地調査は、平成26年度8月に雲南省イ族タイ族自治県の「県城」、タイ族、漢族村、ハニ族村で、おもに民族の帰属認識および開発による移動や経済状況に関してインタビューを実施した。また、現地協力者である李永祥氏に研究成果を発表してもらうなど、研究交流を通じ、現地の民族や生活に対する理解を深めることができた。 それらの調査結果の一部は、関西学院大学の2014年度『先端社会研究所紀要』に科研メンバーの共同執筆論文(テーマは、「国家のはざまで生きる――中国雲南省新平イ族タイ族自治県における文化的再開発」として掲載予定である。ほかにも、本研究が関西学院大学先端社会研究所共同研究プロジェクト「中国国境域/雲南」班の研究からの継続性もあって、これまで行った調査結果をもって本格的に成果発表に向けて企画が進んでいる。中国では李永祥編の学術書(平成27年度9月までに原稿を完成)が、日本では荻野昌弘編の学術書(平27年度3月を目途に原稿を完成)の学術書出版の企画が進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、本研究は関西学院大学先端社会研究所共同研究プロジェクト(「中国国境域/雲南」班の研究)を踏まえたもので、初年度でありながらすでに現地に対する一定の理解があったこと。 次に、今年度は現地協力者である雲南省社会科学院の李永祥氏を関西学院大学に客員教授として招聘し、研究発表会および交流会を通じ、現地関連の専門知識に関する理解が深まったこと。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度8月、メンバー全員による新平県のタイ族、イ族、漢族、ハニ族村の祭祀を中心に聞き取り調査、それぞれ研究成果(学術書の出版)発表に向けた執筆を進める。 平成27年度3月、それぞれの執筆過程で生じる課題に向けて補足調査を行う。補足調査が必要なメンバーのみで現地調査を行う。 平成28年度8月、最終補足調査を行い、研究成果(学術書の出版)の発表に向けて取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度である平成26年度は、先行研究の整理を中心にしたため、年間二回予定していた調査は一回のみとし、次年度に調査費用を残すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の現地調査に使用する予定である。 メンバー全員が8月と3月に、二回の現地調査を予定している。
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