研究課題/領域番号 |
26380730
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研究機関 | 高野山大学 |
研究代表者 |
森本 一彦 高野山大学, 文学部, 講師 (20536578)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域社会 / 高野文化圏 |
研究実績の概要 |
本研究は高野文化圏の総合的研究をおこなうとともに、収集したデータを研究者や一般市民が利用可能なデータベースとして整理をおこない、公開に向けた準備を進めて行くものである。特に人や物の移動を中心に研究を進めていく。 歴史資料については、「金剛峯寺諸院家析負輯」のデータ入力が全体10分の1を終了し、近世の山内住職の移動についての分析の方向性を模索した。また密教文化研究所に保管された山内寺院の歴史資料のリストを閲覧し、今後のデータ化等を含めて、検討を始めた。寒川町文書館に保管されている高室院文書の紙焼きを閲覧するとともに、マイクロフィルムの複写等の手続きについて確認した。和歌山県立博物館の学芸員、和歌山県立文書館の職員・研究員、高野町教育委員会の職員などと連携して、橋本市の田中家文書の目録作成を始め、高野山との交流が分かる資料を発見した。さらに高野山金剛峯寺が発刊している『高野山時報』の目次入力を開始し、近代における高野山の変遷や交流についての検討を開始した。 フィールド調査については、高野山上の商家を中心とした移動に関するインタビュー調査を行ったが、観光地ということもあり、多くの調査件を確保することができなかった。今後、アンケートなどを利用して、データ数を増やしていくことも検討する。周辺地域については、九度山町の九度山地区・椎出地区・北又地区、紀美野町の真国地区などにおいて移動の調査とともに、信仰調査を行った。紀美野町のりら創造芸術高等専修学校の納豆調査に対してアドバイスを行った。 社会への発信として、シンポジウムを年2回(9月・12月)とワークショップを年4回開催し、高野文化圏およびそこで展開される人々の生活を中心として検討するとともに、社会移動について検討を行った。その成果について『2014年度高野文化圏研究会報告書』として発刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「金剛峯寺諸院家析負輯」のデータ入力に時間を取られ、高野山上の商家を中心としたインタビュー調査が進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
歴史資料の調査・分析については、11月の比較家族史学会における報告で使用する「金剛峯寺諸院家析負輯」の入力を中心として進め、橋本市の田中家文書の整理や九度山町の歴史資料の調査も継続して行っていく。高野山大学図書館や密教文化研究所の所蔵する歴史資料について関係するものがないもかを確認する。『高野山時報』などの近代資料の活用についても検討する。 フィールド調査については、インタビュー調査による高野山上の商家・寺院における人と物の移動に関するデータ収集が時間的な問題もあり進まないために、アンケート調査などによって概要をつかむことも検討する。九度山町などを中心として、周辺集落における人と物の移動についての調査も検討する。 平成26年度に引き続き、研究の中間成果の発表および問題点の点検のために、定期的に研究会を行うとともに、外部の研究者を招聘した公開のシンポジウムを開催する。また学会において報告をする。平成27年11月には比較家族史学会のミニシンポジウム「高野山における人口維持システム」を開催する予定である。シンポジウムについてはその要旨を報告書としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月末に東京への出張があり、研究代表者とともに、招聘者の旅費が必要であったが、年度末まで額が確定しなかったために、結果として次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
調査用の器材および資料等の購入費として当てる予定である。
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