研究課題/領域番号 |
26380736
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
尾形 倫明 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (60633675)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 家族介護 / 社会調査 / 仮想評価法 / 介護手当 / 現金給付 / 利用者選好 / 利用者主導 / 死生観 |
研究実績の概要 |
本研究は、将来的に居宅で家族に対して介護を提供する可能性のある国内の住民が、在宅介護に対する意識、家族介護に対する報酬をどのように考えているか解明する研究である。特に本研究の特色は、家族介護に対する報酬を介護手当と操作的に定義した上で、賛否を含めた意向と給付の水準金額を社会調査によって仮想的に同定する手法である。 27年度に実施された調査によって得られたデータを整理することによって、介護をしていない住民の考える、家族介護1時間あたりの最低受け入れ意思額(WTA:willingness to acceptance)を推定した。その結果、時給1,000円を大幅に上回ることが推定された。 これは、過去に行われた、介護者の回答したWTAの、時給1,000円を上回り、現在介護をしていない者にとって、家族介護に対する抵抗が高いことが一因であると推測された。高い対価を求めることについては、回答者がこれから新たに、介護によって失う時間に対する対価を高く見積もっているからと推測された。 本調査結果の推定価値が高い理由として、過去の調査対象の介護者はすでに介護を行っており、実施中の介護に対する補償の受け入れ価値であること、また高齢者であり、相対的に所得が低いことが要因であると推測した。一方で、本調査の回答者は生産年齢に位置していることで、現在の所得は高齢者と比べて相対的に高く、仕事や家事のマネジメントに対して、高い補償を求めていることが推定された。つまり、現役世代の求める金額水準で家族介護を評価すれば保険出は増大すると推測された。 よって、所得のある現役世代に対しては、家族介護を実施してもらうよりも、介護保険サービスを積極的に利用し、介護による離職を防止し仕事を続けて保険料を納付してもらうことが社会的に逸失利益を減らし、持続可能な制度設計としも優れていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表を含めた、研究チームの構成は4人だが、28年度に、研究代表を含めて3名が他機関に異動となり、研究体制の再構築に時間を要した。 特に、研究代表は新設の機関に異動となったため、研究体制の再整備と準備に時間が掛かり、データの整理以降の、解析や発表といった作業に遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
調査とデータ入力・整理は終了しているので、研究事業実施期間を1年間延長する。それによって翌29年度に、解析や執筆の役割分担、打ち合わせを十分に行い、その上で解析を行うこと、執筆・成果の公表を行うこととし、もって研究事業を完遂する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表を含めた、研究チームの構成は4人だが、28年度に、研究代表を含めて3名が他機関に異動となり、研究体制の再構築に時間を要した。 特に、研究代表は新設の機関に異動となったため、研究体制の再整備と準備に時間が掛かり、データ入力・整理・集計の委託と中間発表に用いたのみであった、 そのため、当初予定と異なり次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度には、研究・解析・執筆役割分担などの打ち合わせの旅費、成果発表の旅費、論文投稿料として用いる。
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