研究課題/領域番号 |
26380739
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
倉田 賀世 熊本大学, 法学部, 教授 (10431298)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会福祉 / 福祉サービス利用者支援 / 権利擁護 / 主体性の確保 / 利用者参画 |
研究実績の概要 |
本年度は主として収集した文献の分析、ならびに、福祉行政機関への聞き取り調査、福祉施設への聞き取り調査による、資料収集を行った。その結果、契約という私的自治を中心とする利用関係においては、その具体的な内容やサービスの質の担保を当事者間関係に委ねることに一定の限界が存在する事が明らかとなった。 しかしながら、我が国の現行法上に基づく制度運営においては、行政機関による規制が、もっぱら、サービスの最低限の質の担保に限定されており、その結果、利用者と事業者間関係に対する直接的な影響力を何ら有していない。それゆえ、上述のような問題状況を改善するためには、利用関係における一定の行政介入が求められるものと考えられるが、当事者自治を損なわない形式での、新たな行政介入手法として、どのようなものが望ましいのかについては、その是非も含め、我が国では十分な議論の蓄積がない。そこで、今年度においてはその手がかりを得るために、ドイツの福祉サービス利用関係に関する文献収集を併せて行い、この点に関する議論の手がかりを得ることとした。 なお、本年度の研究成果の公表に関しては、その成果の一部が、2016年度春期社会保障法学会シンポジウムにおいて「社会福祉サービス供給体制における児童の主体的権利・利益の保障」というタイトルでの学会報告を行い、これを公表することがすでに決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集、調査、分析等が計画通りに進行している結果、すでに、研究成果の一部は論文や学会報告といった形で公表していることからすれば、本研究課題においては、当初の研究計画通り、概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、研究計画と目的に従って、資料収集、調査及び、それらの分析を行い、研究成果の公表につなげていく。とりわけ研究の最終的とりまとめ段階に来ていることから、成果をできるだけ多く公表する機会を得られるように、研究会での報告、学会での報告、論文の執筆といった公表活動を積極的に推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由としては、調査旅費につき、当初想定していたよりも近隣の地域での調査が可能であったため、費用が大幅に縮減できた事に依るところがあげられる。その他には、収集すべき資料が所属機関に所蔵されていたことから、取り寄せ費用等の経費が相当程度軽減されたこともある。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は研究のとりまとめ期間になるため、可能な限り多くの研究回答で成果を公表することを予定している。それゆえ発生している次年度使用額に関しては、もっぱら、公表のための旅費に充てる予定である。
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