大分県臼杵市と日出町の個別事例の調査からは、障害者と「非障害者」、福祉的就労と一般就労、現金給付と現物給付、行政と民間、公平性と個別性、専門職と非専門職、小地域と広域など福祉の現場に存在する様々な対立、二律背反の構造が浮かび上がった。また、イギリスのオックスフォードの貧困地域での調査からは、地域を基盤とした政策の重要性、意思決定支援や福祉手当の申請、不服申立て支援など民間団体によるアドヴォカシー活動の重要性が明らかになった。二律背反構造を乗り越え、地域に基盤をおく総合的で柔軟な支援体系の創出には、ソーシャルワークが機能する政策づくりと政策が機能するソーシャルワーク実践が求められる。
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