研究課題/領域番号 |
26380741
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
垣田 裕介 大分大学, 福祉社会科学研究科, 准教授 (20381030)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 貧困 / 生活困窮者 / 生活保護 / ホームレス / 社会的包摂 |
研究実績の概要 |
平成27年度に実施した研究は、同年4月に新たにスタートした生活困窮者自立支援制度について、各自治体における実際の運営状況を調査し、制度の効果や課題について、既存の生活保護制度やホームレス支援策を含めた検討を行った。 具体的には、各地で生活困窮者自立支援制度の事業を担っている自治体や民間団体等を訪問し、支援の内容や効果、直面する課題などについて調査を行った。なかでも、前年度までに調査を実施している地域については、個別ケースの支援実践の経過を継続的に調査するとともに、支援スタッフに対するインタビューも重ねて実施することによって、支援の効果や課題について踏み込んだレベルでの分析や検証を図っている。各地での支援の実態や効果について、個別ケースを交えたエビデンスにもとづいた分析を行うなかで、生活困窮者支援において、別制度である生活保護の所得保障機能をいかに関連付けるかが政策課題の一つとして明らかとなった。 さらに、生活困窮者自立支援制度のもとでの都道府県の役割を検討する観点で、複数の県域について訪問調査を実施した。 あわせて、ホームレス支援策との関連については、生活困窮者自立支援制度においてホームレス等に対応する一時生活支援事業に焦点をあてて、全国の自治体及びホームレス支援団体を対象とするアンケート調査を実施した。そして、生活困窮者自立支援法施行後におけるホームレス自立支援法の役割について、行政や支援団体、研究者等との意見交換をふまえて、これまでの政策効果や今後の展望について分析や検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究経過について、計画していたインタビュー調査、ケースデータの継続調査が順調に進み、研究目的や研究実施計画に記した研究を実施することができた。 研究成果について、主に、国内の学会や海外での国際会議において報告を行ったとともに、執筆した論文が学会誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、本研究の最終年度にあたるため、研究成果の取りまとめに向けた作業を展望しつつ、各地域での調査を継続して実施する。なかでも、生活困窮者自立支援制度の実施2年目を迎え、各自治体が諸課題に向き合って制度運営を変化・改善を試みる状況や、個別ケースに対する支援の進展や困難などのように、メゾやミクロのレベルにおける具体的な動向について丁寧に把握したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費で購入を想定していたノート型パソコンについて、平成27年度については他のパソコンを本研究用に使用することができたことによって、物品費を使用する必要が生じなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究目的及び研究実施計画にもとづいて適切に使用する。研究内容に関連する和書の出版が引き続き増えることが想定されることから、和書購入に充てて研究動向の把握・検討を進める。
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