研究実績の概要 |
研究1では、「精神障害者雇用に対する事業主の態度尺度評価・改定版」(小澤・菊池, 2009)(以下、ATEP II)の回答に伴う負担軽減と結果の理解しやすさの向上を目的として、調査を実施した。具体的には、法定雇用率達成企業の割合が高い医療・福祉と、その割合がほぼ中央値であるサービス業の事業主に対してATEP IIを実施し、その結果を基に「精神障害者雇用に対する事業主の態度尺度短縮版」(以下、ATEP II-SF)を作成し、信頼性と妥当性の検証を行った。ATEP II-SFの信頼性は、因子分析の結果、「精神障害者の雇用に対する意欲」「精神障害者に対する信頼」「精神障害者の活動制限」「精神障害者の注意配分」の4因子が抽出され、信頼性分析の結果から内的整合性が検証された。また、ATEP II-SFの4因子は、ATEP II-SFの初版である「精神障害者に対する事業主の態度測定尺度」(小澤・八重田, 2007)(以下、ATEP)を構成する4因子のうち3因子(「精神障害者の雇用に対する意欲」「精神障害者の活動制限」「精神障害者の注意配分」)とほぼ同じ内容であったことや、確認的因子分析の結果から、ATEP II-SFの構成概念妥当性は検証された。 研究2では、障害者雇用に関心が高い事業主に対象を限定し、障害者に対する態度の背景にある動機づけや感情と、精神障害者の雇用に対するイメージや思いを明らかにし、さらにそれらの関係について明らかにすべく調査を実施した。具体的には、法定雇用率達成企業の割合が高い製造業の事業主を対象に、「障害者に対する態度尺度日本版」(以下、IDP-J)(宮本・Bontje・須山・伊藤,2015)と、ATEPII-SFを実施した。 今後は、上記で得られた本研究のエビデンスを基に、精神障害者雇用における事業主支援モデルについて分析をさらに進める予定である。
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