研究課題/領域番号 |
26380747
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中島 尚美 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 特任講師 (00510174)
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研究分担者 |
岩間 伸之 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (00285298)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 母子生活支援施設 / 社会的養護施設 / 予防強化型アプローチ / 地域を基盤としたソーシャルワーク / 入所時アセスメント |
研究実績の概要 |
平成26年度は、本研究が目指す、母子生活支援施設における「予防強化型ソーシャルワーク実践モデル」構築に向けて、大きくは以下の研究活動を行った。 1.文献研究:本施設は児童福祉法に根拠をもつ児童福祉施設であるが、2011年に社会的養護施設として新たに位置づけられたことを受けて、日本の社会的養護体制における本施設の位置づけを明確にすることを目的として、2003年から公に取り扱われた厚労省社会保障審議会の委員会及び検討会等による報告書等の文献を中心に分析を行った。 2.実践現場のニーズ把握:本施設の予防強化型の実践モデル構築に向けて、まずは、実践現場におけるニーズを明確にしておく必要があり、それを目的として実践者と協議する場を定期的に設けた。支援の担い手のニーズは、「利用者を主体とした支援のあり方」の検討にあり、入所時から予防的に積極的なアプローチを行うための「仕掛け」としての情報の収集とその捉え方、すなわち、入所時アセスメントにつながる情報入手の視点を明確にすることを検討した。その経過のなかで「入所時アセスメント指標」の作成を試み、現在たたき台の試行段階である。これは本研究における実践モデルのアドミッション期の重要課題と位置づけられる。 3.事例研究(研究会開催):1,2と並行して、研究代表者と研究分担者は月に2回の研究ミーティングを行い、さらに、研究協力者5名が加わった研究会を計3回開催した。主に研究概要・方向性の共有と研究で取り扱う用語等の概念整理を行った。さらに、実践事例を用いて「予防強化型」アプローチにつながるソーシャルワーク実践を抽出し、ソーシャルワーカーの意図に焦点化して、その意味づけと解釈の共有を図った。また、研究会を重ねることにより、調査設計の修正及び方向性の確認と、次年度のヒアリング調査に向けての準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「(3)やや遅れている」理由は、交付申請時に記載した「研究目的」においては、全国調査に向けて、量的調査手法で行う予定であった。しかし、研究ミーティングにおける研究で取り上げる概念整理、及び研究会を中心に行ってきた研究枠組みによる実践事例の分析を通して、当初予定していた量的調査手法を早い段階から用いるのでは、研究目的に沿った研究成果が十分に得られないのではないかという懸念が浮上した。 そのため、研究会で再度協議し、さらに実践家からの助言を取り入れ、まずは第一段階として、母子生活支援施設の現場職員を対象としたヒアイング調査を行い、そのデータを質的な分析を行うことによって、「予防強化」型ソーシャルワーク実践モデルのたたき台を抽出する方向性に修正した。研究方法を質的分析手法に変更することになったため、当初の予定からやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
・研究手法の変更 量的研究手法から質的研究手法に変更することにより、「予防強化型ソーシャルワーク実践モデル」のたたき台を抽出することを試みる。 ・研究計画の変更 郵送による質問紙調査から、研究代表者が実践現場に出向くヒアリング調査に変更となる。研究会開催回数や研究代表者の旅費等にも変更を要する。 ・学会発表 文献研究、入所時アセスメントに関する研究については、平成27年度の日本子ども家庭福祉学会、日本社会福祉学会で発表することにより、さらに研鑽を積む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主たる理由は、平成27年3月末に予定していた研究会が年度をまたいで延期となったためである。研究協力者全てが実践現場職員や実践プログラムを実施している立場であるため、研究会の日程調整を行ったが、平成26年度内に開催することが難しい状況にあったことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、調査手法をヒアリング調査に変更したことから、研究代表者の旅費に加算する形で使用する計画である。
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