研究課題/領域番号 |
26380749
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
福間 隆康 高知県立大学, 社会福祉学部, 講師 (30410509)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 障害者雇用 / 職場定着 / モチベーション / 特例子会社 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、就労継続支援事業所および特例子会社における雇用管理の特性と、それが障がい者の就労継続に与える影響を明らかにすることである。
本年度は、重要文献をレビューしたうえで、特例子会社の人事部門に対するインタビュー調査を行った。その結果、障がい者雇用の配慮として特例子会社は、障害者職業生活相談員や第2号職場適応援助者を配置し、業務面と生活面のサポートを行っている、支援機関と定期的に連携している、さまざまな治工具や自助具を取り入れ、作業環境を改善している、コミュニケーション能力を高めるため、社内でソーシャルスキルトレーニング研修を実施している、各部門間の情報共有、問題点の吸い上げや課題解決に向けての取り組みを行う「職場定着推進室」を設置している、専門の講師を招いて座学だけではなく、現場の業務シーンを想定したケーススタディやロールプレイを取り入れた研修を行っている、聴覚に障がいのある従業員が出席する会議では、要約筆記者や手話通訳者を交えて意見交換を行っている、コアタイムなしのフレックスタイム制を採用している、障がいのある従業員が一つの業務を単独で行うのではなくチームまたはペアで作業を行い、互いにフォローできるようにしていることがわかった。
また雇用管理が異なれば、そこで働く従業員の態度や行動が異なることが予想されるわけであるが、本研究では特に、障がいのある従業員の仕事意欲、定着について分析を行った。その結果、採用時における職務の事前説明、入職後のハンディ解消策、職場適応支援策、コミュニケーションの活発化、全体的なフォローアップ体制の整備、公正な評価・処遇、自律性を確保した職場運営が、従業員のモチベーションを高め、定着率の向上に寄与していることが明らかになった。これらの結果をまとめ、学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の検討が順調に進んだ。インタビュー調査については、全部で28社の協力が得られ、有益な情報を得ることができた。その結果として、日本社会福祉学会等で特例子会社の事例を分析した報告を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は就労継続支援事業所の人事部門に対するインタビュー調査を中心に進める。10事業所を目標にデータを収集し、サーベイ調査に通じる仮説を導出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、3月に実施した情報収集のための旅費が予定していた金額より少なかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
インタビュー調査に伴う旅費としての支出を予定している。
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