研究課題/領域番号 |
26380750
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
杉原 俊二 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50259644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 保護者支援 / 虐待リスク / ナラティヴ・アプローチ / 自分史分析 / 4テーマ分析法(4T法) |
研究実績の概要 |
前年度では「予備調査」に引き続いて「本調査」(虐待リスクのある保護者に対する4T法)を2名に対して実施する予定であったが、時間不足でできなかった。 今年度ではまず、それまで本人や子どもの主訴で家族療法をおこなった保護者2名(女性)に対して4T法を実施し、その手順で十分な援助ができているかを確認した。追跡調査として3ヵ月後に1回の面接を実施した。これは「テーマ分析」の実施前と実施後で変化があったか,実際にどのような効果があったのかについて,半構造化面接をおこなった。その内容について,KJ法を用いて分析した。それと同時に、「自尊感情尺度」などを用いてテーマ分析実施前と実施後の評点をしてもらい、どの程度変化したと感じているかを調べた。続いて6名(女性5、男性1)に対して4T法を実施した(追跡調査は未実施で終わった)。 結果として、8名の年齢は4T法開始時で3名が20歳代後半、4名が30歳代前半、1名が30歳代後半であった。8名とも4T法を終了して、児童虐待に関係すると思われる自分史(ライフストーリー)を形成することができた。 先行した2名の調査で、①語る中で「ストレスを感じること」があるため面接の間隔を1~2週間としていたが、4週間程度あけたほうがよい場合もある。②そのため、対象者から直前に予約変更が出ても柔軟に対応すること、が明らかになった また、以前のうつ等の研究でも指摘したとおり、③語るテーマは仮に決めておいても、対象者の語りの中で柔軟に対応することや、④途中で中断を防ぐために、4T法の実施前に意思確認を3回以上実施することも、今回の調査でも必要であった。追跡調査でも「自己肯定尺度」など、全ての尺度で実施前より実施後に好転していた。また、親子関係は良好であり、虐待リスクは低下していた。のちに実施した6名でも、第8回面接で、親子関係の好転や虐待リスクの低下について語られていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時には予定をしていなかったことだが、管理職(人間生活学研究科長)となった。平成27年度は外部機関による認証評価を受けたことや、予定外の授業を担当することになったため、調査する時間が減ってしまった。また修了予定の大学院生を4名担当しており、論文指導や審査準備などに時間を取られてしまった。 また、予備調査と違い、今まさに虐待リスクを抱えている保護者であったため、医師やソーシャルワーカーなどから紹介されても、4T法までたどり着かない(事前の面談で断られる)ということが6名あったため、予定通りの進行とはならなかった。そのため、2名分の調査が未実施である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度では、すでに調査の終わった6名分の追跡調査を実施しながら、残り2名分の調査を9月までに実施し、1月には追跡調査を終える計画に変更する。これで遅れを取り戻す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時には予定をしていなかったことだが、平成26年度から管理職(人間生活学研究科長)となった。平成27年度は外部機関による認証評価を受けたことや、予定外の大学院の授業を担当することになったため、調査する時間が減ってしまった。また修了予定の大学院生を4名担当しており、論文指導や審査準備などに時間を取られてしまった。 また、予備調査と違い、今まさに虐待リスクを抱えている保護者であったため、医師やソーシャルワーカーなどから紹介されても、4T法までたどり着かない(事前の面談で断られる)ということが6名あったため、予定通りの進行とはならなかった。そのため、2名分の調査が未実施となってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度では、すでに調査の終わった6名分の追跡調査を実施する。また、残り2名分の調査を9月までに実施し1月には追跡調査を終える計画に変更する。これで遅れを取り戻す予定である。 また、これまでの研究成果を日本家族研究・家族療法とKJ法学会で計3回の口頭・呈示発表をする予定である。
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