(1)予備調査:3年で計画されているうち、平成26年度は「予備調査」虐待リスクのある保護者で、それまでに本人や子どもの主訴で家族療法をおこなった8人の追跡調査をした(予定は4人)。これは「テーマ分析」の実施前と実施後で変化があったか,実際にどのような効果があったのかについて,半構造化面接をおこなった。その内容について,KJ法を用いて分析した。良い評価であり、「自尊感情尺度」などでも全体的に好転していた。 (2)本調査:平成27・28年度では、それまで家族療法を実施していない10人(女性8、男性2)に対して4T法を実施し、その手順で十分な援助ができているかを確認した。また、追跡調査としては1回の面接を実施した。なお、10人の年齢は4T法開始時で3人が20歳代後半,5人が30歳代前半,2人が30歳代後半であった。結果として、2015年4月から2016年12月までに実施し、追跡調査も10人とも終了して児童虐待に関係すると思われる自分史(ライフストーリー)を形成することができた。先行調査で、①語る中で「ストレスを感じること」があるため面接の間隔を1~2週間としていたが、4週間程度あけたほうがよい場合もある。②そのため、対象者から直前に予約変更が出ても柔軟に対応すること、が明らかになった また、以前のうつ等の研究でも指摘したとおり、③語るテーマは仮に決めておいても、対象者の語りの中で柔軟に対応することや、④途中で中断を防ぐために、4T法の実施前に意思確認を3回以上実施することも、今回では必要であった。3ヵ月後の追跡調査でも、全ての尺度で実施前より実施後に好転していた。また、親子関係は良好であり、虐待リスクは低下していた。のちに実施した8人でも、第8回面接で、親子関係の好転や虐待リスクの低下について語られていた。 平成29年度において、残りの研究発表をおこなう予定である。
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