最終年度の研究実績については、まず昨年度に引き続き先行研究の整理・検討を行った。具体的には、1.ソーシャルワーク理論(ジェネラル・ソーシャルワーク、エコシステム視座と構想、社会構成主義など)、2.エンパワメント実践過程(個人的、対人的、政治的な次元や対話・発見・発達の展開など)、3.コンピュータ支援ツールに関連する情報科学(支援ツール開発への知識獲得など)について、幅広く渉猟し、整理・検討を行った。 特に研究目的に即して、わが国での適用が進められているジェネラル・ソーシャルワークにおける利用者自身の力を促進するエンパワメント実践過程の考察を深化した。そこではまず、理論的視座として、エコシステム視座やポストモダンの潮流下にある社会構成主義に着目し、エンパワメントとの関連からその意義を提示した。そのうえで利用者の生活を肯定的な側面から捉えなおし、ミクロからマクロを見通して協働展開するエンパワメント実践過程を先行研究より考察した。 そして協働アセスメント方法と支援ツールの開発についても昨年度に引き続き、支援ツールの基礎開発を行っている研究会へ継続的に参加した。そこでは、1.エコシステム構想と支援ツール開発に関する知識の獲得、2.支援ツールに導入する生活支援に関わる情報項目(質問内容)の検討を行った。特に2については、ジェネラル・ソーシャルワーク導入の必要性が高い地域包括支援センターを取り上げ、そのアセスメント項目の作成についてアセスメント構造と具体的な質問項目を整理・検討した。そこでは前年度に実施したアセスメント構造と項目に関する量的調査の結果を分析し、アセスメント指標について検討した。
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