研究課題/領域番号 |
26380757
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
杉岡 直人 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (10113573)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域食堂 / 生活支援サービス / 非営利活動 / 地域の支え合い / 有償ボランティア |
研究実績の概要 |
地域食堂の目的に関して、地産地消と安全な食の提供および社会的孤立を防ぐ見守り機能を取り込み、配食サービスなどの生活支援サービスを複合的に展開する事例を求め、北海道で2カ所、東北で1カ所、東京で2カ所の事例調査を実施し、コンセプトと事業内容について聞き取り調査をおこない、あわせて会計報告等を参考に基礎的な活動条件をとらえた。そこでは、設立の動機や体制づくりと事業展開の基本となる食堂の経営について地域への働きかけや食材の確保に関する特徴を把握した。事業化する際の初期投資や建物の確保や光熱水費のウエイトについても建物を借り上げするタイプ、事業として行政から空間を借用するタイプ、空き店舗を借用するタイプなどに分類され、その維持コストに関して課題となることが指摘された。 もともと組織化されている団体ではなく、各地で分散して展開しているため地域食堂の郵送調査をおこなう上で母集団を特定することは困難であるが、100程度の郵送調査を実施し、回収率は4割程度であったが、社会問題への関わりを意図した活動をしているメンバーも多く、活動には積極的な対応を示す回答者が目立つ。基礎的な集計をおこない、平成27年度に事例調査とあわせて学会報告と投稿準備を進めることができた。また、地域食堂が高齢者等の雇用創出にどのくらいつながるのかという問題については、事業そのものの継続を優先する関係で、人件費を確保して運営している事例は少ないといえる。ただし無償のボランティアによる活動としては、うまくいかないことも指摘されており、月に1回、あるいは週に1回の地域食堂開催のタイプは作業に伴う人的な確保はボランティアで対応してる事例もみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の事例調査の実施により対象となる地域食堂の運営上の仕組みと課題が浮き彫りとなり、生活支援サービスとの関わりが具体的に整理することが可能になったことと、運営主体のバリエーションについてもワーカーズからの展開、生活クラブの活動からの展開、自治会活動からの展開、有志による展開など基本的なスタイルが把握できた。また、全国的な動向に関しての郵送アンケート調査は厚労省の新たな政策展開の具体化が遅れ気味になったため連動して年度後半に実施せざるをえなかったが、おおむね新たな動向に関する意向についても把握することが可能となった。したがって当初の予定についてはほぼ順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
地域食堂が社会問題の解決として取り組む上で、地域問題をどのように捉えるかによって対応が異なるため、都市型の地域食堂としてスタートしたばかりの事例を追跡すると同時に、過疎地域における生活支援サービスにどのような関わるのかを北海道の町村部における取り組みについて事例調査を展開するなかで、モデル的な要素を取り出すことが課題となる。また、関係者が集まってワークショップ形式の検討会の場を設けることで、当事者が見据える課題についても浮き彫りにする必要がある。あわせて学会報告および投稿を通じて関係者からのコメントを受け、理論的実証的な分析の深め方について考察を進めていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
郵送調査の実施時期の遅れにともなう督促用葉書等の発送が遅れたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
葉書代等の支出をおこなう。
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