最終年度(2016年)は、社会福祉法人の社会貢献活動および介護保険制度改正に伴う生活支援サービス拠点となると期待される地域食堂を総括的事例調査として実施した。 期間全体を通じて、郵送アンケート調査(2015年2月実施)および郵送調査に協力いただいた事業所を主たる対象に事例調査(2014年4月~2017年2月)を実施した(合計34事例)。事業所の運営形態別に五つに分類すると、ワーカーズ運営型、住民主体運営型、個人・有志運営型、母体組織運営型、障がい者就労支援型となり、それぞれの類型に対応する地域食堂の聞き取り事例を用いて、その特徴を整理した。2016年2月に「地域食堂の可能性と持続条件」をテーマとしてワークショップを実施し、地域食堂は立ち上げ資金や原価率などの運営を考えること、地域食堂の持続条件として、地域食堂を介護予防の一環とし、有償ボランティアと事業者との協働的な関係を形成することが決め手となることを整理した。 まとめと考察としては、①地域食堂のみの単独運営では事業の存続に必要な収益を見込むことは難しいが、補完的な事業として生活支援サービスを位置づけても人材確保と人件費を基本とする事業のためハードルは高いこと、②空き店舗等を借りても家賃がかかることや法人等によらない個人事業の運営者は持ち出しが多いこと、③配食サービスやサロン活動、移送サービス、制度外の生活支援サービスなどを提供し、地域住民の憩いの場となっていること、④地域食堂は、子育て支援や見守り、サロン活動などを通じて地域コミュニティの生活課題に取り組む社会的事業としての位置づけを提示した。
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