研究課題/領域番号 |
26380758
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
増子 正 東北学院大学, 教養学部, 教授 (80332980)
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研究分担者 |
李 在檍 新潟青陵大学, 看護福祉学部, 准教授 (40460323)
高橋 信二 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (50375482)
大澤 史伸 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60297190)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域福祉 / 共同募金 / ファンド・レイジング |
研究実績の概要 |
当該年度における本研究では、共同募金を取り入れている43カ国のなかで、募金額の伸びが著しい韓国における共同募金のシステムとマネジメントを調査することで、わが国の共同募金額を安定的に確保するためのファンドレイジングのあり方を検討することを目的として研究活動を行った。【調査の概要】韓国における共同募金会では、募金額を確保するために次の特徴的な取り組みがなされていた。①企業からの募金を集めるための工夫・募金総額の53%を占める企業に専属の担当者を配置する・政府との間に綿密な関係を築いて、共同募金会を経由した際の税制の優遇措置がとられている・共同募金への募金をCSR(企業の社会貢献)として活用できるような配慮をしている②個人募金を集めるための工夫・鉄道会社という市民の生活に身近な企業と連携して、保障料金が返却されるカード式切符の保障料をそのまま寄付できるよう、日常生活のなかに共同募金を身近に感じる工夫がなされている ・教育庁との間に綿密な関係を築いて、学校募金の普及を通じて子どものころから共同募金を身近なものにする取り組みがなされている・共同募金会には子ども向けの共同募金の学習コーナーが常設されていて、子どもたちに共同募金を知ってもらうための工夫がなされている・同募金会の会員に対して、月1万ウォンまで自動的に所得が控除される。以上のように、韓国における共同募金が増額を続けている背景には、共同募金会と政府との綿密な関係の構築と、企業からの法人募金を安定的に集める工夫がなされていたこと。共同募金を身近な行為にするための福祉教育と市民への啓蒙活動がなされていることが特徴であることがわかった。 本研究に関する調査は、韓国共同募金会を対象に実施したものであり、国民の共同募金に関する意識や、大手10社を除いた企業の募金への取り組み状況についても明らかにすることが今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、韓国における共同募金額がわが国とは逆に大きな伸びを見せている要因を現地調査により明らかにすることが大きな目的である。 現地調査により、韓国共同募金会の取り組みとマネジメントの特徴をあきらかにできたことから、当該年度の研究目的は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
①国内における共同募金のファンド・レイジングとしての取り組みを行っている山口県共同募金会を対象に、共同募金のファンド・レイジング化の取り組みによる募金額の推移などの調査を実施する ②韓国の共同募金と同様に、募金額が増加している台湾において、共同募金のシステムとマネジメントに関する現地調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に韓国共同募金会を対象に2階の現地調査を予定していたが、概ね調査が順調に進んだため現地調査を1回のみの実施としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度では、韓国共同募金会で法人募金に関するマネジメントを調査した結果、韓国の経済情勢に今後、法人募金額が左右される可能性が示唆されたため、わが国の戸別募金との比較を行う目的の調査を次年度に実施する。
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