研究実績の概要 |
共同募金に取り組んでいる国のなかで募金額の著しい伸びを示しているのが韓国であることから、当該年度ではフィールド調査により韓国が安定的に募金額を確保している要因を分析した. 韓国共同募金会は,1998年に設立され中央会及び募金会直結の16ヶ所の市・同支部で構成されている.職員数は支部を含めて300人はすべて共同募金事業の専従職員であること.企業募金が募金総額の53%を占めている背景には,企業との関係づくりのために専属の職員を配置していること.単に募金を集めて配分するだけでなく,配分を受ける事業の遂行のための相談支援体制が整っていること.配分金の使途の透明性を確保するための情報公開と寄付者の管理体制が整っていること.職域募金や学校募金の確保のために多様なプログラムが導入されていることなどがわかった. これらのことから韓国における共同募金特徴を、①韓国共同募金会の組織、②募金プログラムの開発と事業支援、③説明責任 の3つの視点から整理して、韓国における共同募金のマネジメントの体系化を試みた。単に募金を集めて配分するだけでなく,配分を受ける組織が事業を遂行するための相談支援体制を持っていること. 配分金が確実に活かされるように募金の配分を受けた組織に対して当該事業が終了するまでに2回の評価を実施するとともに事業の遂行に関する助言が行われている。募金事業のマネジメントに関しては,募金戦略の作成から評価にいたるまでのPDCAサイクルが確立していることがわかった。
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