本研究の目的は、海外進出を目指す介護サービス事業所で働く福祉専門職に焦点をあて、彼らの学習や研修を充実させるための人材育成プログラムを作成する基礎資料を収集することである。そのために、海外に拠点を持つ事業所の職員の労働環境、作業状況、教育支援体制の実態調査を実施した。さらに、それらを踏まえ国際的な感覚を身に付け、グローバルに活躍する福祉専門職の人材育成、実現可能な多角的な支援を含む実践プログラムの枠組みを構築する。 平成28年度は、①国内外の介護事業所から収集したデータ(課題及び事例等)をもとに、事業所の運営に関わる組織的なマネジメント、サービスを実施するためのアプローチ・手法の実態を明らかにした。次に、②関連する中国の現地情報(S市・T市・C市)の制度、一般的な生活習慣、地域性・文化の差から生じる課題、介護技術やアプローチを実践する上での影響性について整理した。具体的には、<現地ニーズの対応><適応・対応力の課題><現地医療・介護保険制度の活用><施設周辺の環境整備><現地の調査や分析><情報発信、メディア対応><行政機関へのアプローチ>等である。③教育支援に関しては、海外進出を目指す事業所に必要な基盤整備、環境づくりを踏まえた作業モデルを細分化し、どのような人材育成をすべきか、獲得すべき知識や能力等を分析した。さらに、事業経験や体験の構成をカテゴリーに生成し、そのカテゴリー間を図式にしてまとめた。今後は、国内外と外国人専門職との連携を踏まえた教育支援プログラムの活用方法を模索する。
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