研究課題/領域番号 |
26380762
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
下井 俊典 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (30364649)
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研究分担者 |
小嶋 章吾 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (90317644)
福島 道子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (40201743)
加藤 尚子 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (70294858)
小町 祐子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (40433619)
齋藤 智恵 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (50458402)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多職種間教育 / 教育効果 / 教育評価 |
研究実績の概要 |
1. 既存のIPE評価尺度(英文)の日本語版の作成 特に国外で多く使用されている既存のIPE(Interprofessional Education; 多職種間教育)プログラムの教育効果に関する評価尺度として"Readiness for Inter- professional Learning Scale (RIPLS)"と"Interdisciplinary Education Perception Scale (IEPS)"がある。研究分担者である本学語学教育部所属の齋藤智恵氏によりこれら評価尺度を邦訳し、日本語版IPE評価尺度を作成した。 2. 日本語版IPE評価尺度の妥当性の検討 1項で作成した該評価尺度を実際のIPEプログラムの教育効果評価尺度として使用し、その構成概念妥当性を検討した。まず、「関連職種連携実習」における教育効果を検討した。該カリキュラムは最終学年の学生を対象とし、臨床実習を中心に構成された国際医療福祉大学IPEプログラムの1つである。10週間に渡る同プログラム中、該評価尺度により4回の評価を実施した結果、他学科学生との協同学習(RIPLS)、自職種の理解(IEPS)のいずれに関しても実習期間中を通じて学習が獲得されていることが明らかとなった。次に「関連職種連携論」における教育効果を検討した。該カリキュラムは第2学年の学生を対象とした国際医療福祉大学IPEプログラムの1つである。該カリキュラム履修者983名に対して、両評価尺度を使用して教育効果を測定した。結果に関しては現在解析中である。 3. IPEコンピテンシーの検討 評価尺度の検討と同時進行して、評価基準となる学生が獲得すべきIPEにおけるコンピテンシーについても研究班メンバーを中心としたタスクフォースを組織して検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた日本語版IPE評価尺度を作成し(9-1項)、実際のIPEプログラム履修者に対して同評価尺度を使用してその妥当性検討に着手した(9-2-(1)項)。 加えて、計画を前向きに変更し、異なる学年次のIPEプログラムについても同評価尺度を使用して教育効果を測定するとともに、その妥当性を検討する研究を開始した。このことにより、レディネスの異なる学生におけるIPEプログラムの教育効果の差異を検討することができるとともに、同評価尺度の構成概念妥当性をより多面的に検討することが可能となった。さらに評価尺度の構成概念を検討する上で必須となる、教育評価対象、すなわちコンピテンシーについても検討を開始した。 しかし、当初の計画にあったIPE評価尺度の妥当性に関する質的研究は、対象学生の選定に時間を要したため平成26年度は実施できなかった。 以上のように一部研究計画を前向きに変更して研究を実施したものの、一部計画が未実施であったため、達成度を「おおむね順調に進行している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画にあったとおり、日本語版IPE評価尺度の信頼性・妥当性の検討および同評価尺度の修正版の作成に関して、サンプルサイズを拡大して従来の研究を継続する。さらに、平成26年度に研究計画を前向きに変更したように、異なる学年次のIPEプログラムについても同評価尺度を使用して教育効果を検討するとともに、サンプルサイズを拡大して同評価尺度の妥当性検討をより多面的なものに展開する。具体的には、平成26年度は最終学年の「関連職種連携実習」、2年次の「関連職種連携論」を対象としたが、平成27年度以降は3年次のIPEプログラムである「関連職種連携ワーク」についても同評価尺度を用いて教育効果を検討するとともに、その妥当性を検討する。 特にIPEプログラムの教育効果の検討に関しては、サンプルサイズの影響はあるものの、従来の研究結果から従来仮説として設定していた学科別の教育効果の差異は確認できなかった。しかしカリキュラム前の理解度が高い学生(両評価尺度の成績優良者)は該カリキュラムによる教育効果が得られにくいという示唆が得られたため、この仮説を中心に研究を進める予定である。 加えて平成26年度に着手できなかったIPE評価尺度の妥当性に関する質的研究は、平成27年度中に確実に実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画にあったIPE評価尺度の妥当性に関する質的研究は、対象学生の選定に時間を要したため平成26年度は実施できなかった。インタビューに対する学生卒業生向けの謝金・交通費が支出できなかったため、次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に着手できなかったIPE評価尺度の妥当性に関する質的研究は、平成27年度中に確実に実施することとする。
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