研究課題/領域番号 |
26380764
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
藤島 薫 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90530121)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 若者支援 / 家族支援 / 解決志向 / ストレングス / 早期支援 / 過渡的支援 |
研究実績の概要 |
2年目となる平成27年度は、初年度で達成することのできなかった若者支援プロセスに関する実態調査として児童福祉事業所の支援者からの聞き取りを行い、事例とその対応法および課題について示唆を得ることができた。また、海外における先行事例を検討する過程において、前年度に国内で行われた国際大会で幅広く知見を集めることができたことで、中でも、解決志向アプローチをベースとした若者と家族支援の有用的事例から、今後の介入調査に向けての理論的基盤を確認することができた。 そこで、フィンランドで開発された解決志向アプローチをベースとしたプログラムを支援者に対して行い、そのフィードバックと聞き取りをもとにして、心と行動に問題を抱えた若者支援の関する調査項目を検討することができた。調査項目の内容は、支援につながる経緯、支援の経過、次のステップに移るための連携、若者と家族のリソース、心と行動の問題のカテゴリーなどである。 また、国内における実践事例の中でも特に解決志向アプローチをベースとしたものを更に抽出して「若者と家族のストレングスに焦点をあてた早期支援・過渡的支援プログラム」の構想を練ることができた。研究成果の一部は日本精神保健予防学会の大会で発表し、多くの有益なアドバイスを受けることができた。また、平成28年度になるが6月に行われるIFSW(国際ソーシャルワーク連盟)の大会で発表を行うことが決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度中に若者支援プロセスに関する実態調査を行う予定であったが、児童福祉事業所の支援者によるフォーカスグループへの聞き取りは実施できたが、総合的な実態調査のための内容検討までにとどまり、実際に使用する質問紙の作成および印刷発注まではできなかったことによる。その結果、調査結果をふまえて行う予定であった介入調査も遅れることとなっている。 その理由として、国内外の先行事例や先行研究を調べるなかで解決志向アプローチをベースとした取り組みの有益性を知ることとなり、新たに精査することに時間を要したことと、児童福祉事業所のスタッフへのワークショップの実施とそのフィードバックの日程調整が遅くなったことによる。以上のような状況のために質問調査が確定できていないので研究機関の倫理審査申請はこれからで、量的調査等の対象者(機関)への依頼はそれ以降となるためである。
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今後の研究の推進方策 |
まず、若者支援プロセスに関する実態調査を完結することを第一優先とする。そのために、ほぼ完成している質問調査紙を精査したうえで作成し倫理審査申請を済ませたうえで、調査対象への正式な依頼を着実に行って今年度の前半での実施をめざす。調査方法は、支援関係者(機関)への量的調査とインタビュー調査である。また、その専門領域のオーソリティからのアドバイスを受ける。 6月に予定されているIFSWの国際大会の参加に合わせ、韓国の若者支援機関への訪問調査をすることになっており、日本との共通点もあると思われるアジアにおける若者と家族支援のあり方についての示唆を得る。 これらの調査活動から得た結果を学会等で発表してから次の段階に進むべきところであるが、先行事例および先行研究の収集に十分な時間をかけていることから同時並行的に介入プログラムの計画をたて、実施対象、場所、協力機関を整えて今年度中の実施を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は初年度に予定していた海外での実態調査が日本国内で開催された国際大会で効率よく情報収集が得られたために未使用であった旅費がそのまま残っていることと、量的調査およびインタビュー調査にかかる費用(質問紙印刷代、郵送代、調査活動のための人件費および謝金、旅費)などが次年度に繰り越されることとなったからである。また、平成27年度の後半で行う予定であった介入プログラムで使用する機材や消耗品が、そのまま平成28年度に使用することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の前半は、若者支援の実態調査を行うので、質問調査紙の作成と郵送代および人件費・謝金、協力者との打合せ代などに使用する。また、6月に韓国で行うIFSWでの発表および韓国の若者支援機関への訪問調査の旅費、その他、効果的な先行事例の調査旅費として使用する。 後半は、介入プログラム実施に必要な各種機材や消耗品(認知機能変化の測定やテスト用紙、グループワークで使用する文具や器材など)および協力者への謝金と人件費に使用する。また、期間は限られているが、できる限り、関係する学会への成果報告を行い社会に発信していくために使用する。
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