研究課題/領域番号 |
26380773
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
秋山 美紀 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (50439254)
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研究分担者 |
佐野 喜子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (20399603)
武林 亨 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30265780)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 栄養指導 / スマートフォン / 高齢者 / 食事カメラ |
研究実績の概要 |
在宅高齢者および在宅療養者の健康維持・増進を目的に、昨年度までに開発したスマートフォンを用いて食事記録を元に管理栄養士とコミュニケーションを行うプログラムの実証を行った。 参加者は東京都と山形県に在住の自立高齢者および在宅療養中のがん患者(48~79歳)合わせて9名(40代2名、60代1名、70代6名)で、このうちスマートフォンの利用経験が全くない者は5名であった。実証実験は、スマートフォン操作に慣れてもらうために、3~6日間の練習期間をおいてから、12月12日(土)~16日(水)の5日間で実施した。参加者に毎回の食事の写真をアップロードしてもらい、管理栄養士が食事バランスの評価とコメントを1日1~2回返信した。 実証実験終了後に全利用者と管理栄養士に対して、アンケート調査とインタビュー調査を実施し、プログラムの有用性や運用上の課題等を訊いた。その結果、「食生活を見直したり、考え直すきっかけになったか」という問いに対して、8名が「とてもそう思う」または「そう思う」と回答し、「楽しめたか」と「また参加したいか」という質問に対しては7名が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した。特に負担感が大きく、楽しめなかったと回答したのは、スマートフォンの使用経験のない79歳の女性であった。管理栄養士による食事コミュニケーションプログラムは、特にがん患者の満足度や評価が高かった一方で、健康で活動的な70代の高齢者においてはバラつきが見られた。 食事バランスとコメント入力を担当した管理栄養士(20代)が、一人1食分にかかった時間は4分程度であった。管理栄養士からは、評価する上でタイムラインが見にくかったという意見があったものの、糖尿病患者の指導や動機付け等に有効であるとの評価が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり実証実験を行うことができ、一人暮らし高齢者、療養中の患者、都市部在住者、地方在住者というバリエーションを試すことができた。しかし、実証実験の参加者の人数は9名と、当初の予定より少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、国内外の同様の取り組みについて情報収集をするとともに、研究成果について学会発表を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた物品購入を行わずに済んだ。 成果の学会発表を翌年に繰り越したため、その他の費用がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、共同研究者の管理栄養士と医師がこれまでのデータ分析等を実施するため、分担研究者の研究費を増額した。また論文発表および国際学会等に参加する予定で、旅費や参加費等の支出を予定している。
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