研究課題/領域番号 |
26380778
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金子 絵里乃 日本大学, 文理学部, 准教授 (40409339)
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研究分担者 |
澤田 有希子 関西大学, 公私立大学の部局等, 助教 (60425098) [辞退]
佐藤 繭美 法政大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90407057)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看取り介護 / ケアワーカー / 特別養護老人ホーム / 教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、昨年度に続き、ケアワーカーの看取り介護実践の状況を明らかにし、看取り教育・研修の現状と現場ニーズを把握すること、看取り介護の中心的な役割を担うケアワーカーをサポートする教育体制や職場環境を検討することを目的とした。 アンケート調査については、研究計画に沿って、昨年度末(平成26年12月~平成27年年1月)に、全国の特別養護老人ホームに従事するケアワーカーを対象に実施し、調査によって得られたデータの集計と分析を実施した。調査票に含まれた項目は、基本属性に加え、①ケアワーカーの看取りに対する思いや意識、②ケアワーカーの実践内容(実践状況と必要度)、③ケアワーカーが必要と感じている研修内容と実際の研修内容、④ケアワーカーの職務満足度、⑤ケアワーカーのストレスなどであった。分析のテーマは、主に以下の二つであり、(1)看取り介護の実践と教育の実際に関する記述統計量に関する分析からは、ケアワーカーの看取り介護の中心は「本人の体調管理」であることや、臨終に近い終末期の実践スキルに関する研修が強く求められていることなどが明らかにされた。また、(2)看取り介護の実践に影響を与える要因に関するモデルを検討した重回帰分析からは、看取り教育・研修を受けていること、ケアマニュアルがあること、看取り介護の経験人数が多いことが、看取り介護実践に影響を与えているという知見が得られた。看取りにおける実践には、死生観や援助観といった看取り介護に対する意識やスーパーバイザーの存在は影響しておらず、教育や経験を通した看取り介護に関わる具体的な知識や技術の習得、経験の積み重ねが実践に結びつく可能性が示唆されたと言える。 また、インタビュー調査については、すでに4名のケアワーカーからの聞き取り調査を終え、他に2施設からの内諾を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、①昨年度に実施したケアワーカーを対象とした看取りに関するアンケート調査結果の分析と発表準備を行うとともに、②ケアワーカーへのインタビュー調査を開始した。①アンケート調査結果の分析から、ケアワーカーは身体的ケア中心の看取りとなっており、研修も主に身体的ケアを受講していた。しかし、ケアワーカーの要望は、利用者の危篤時にどのような対応をしたらよいかという具体的なマニュアルや研修が求められており、ケアワーカーが求めているものと実際に提供されている研修が希望にかなっていない実態が明らかとなった。②のインタビュー調査では、すでに4名のケアワーカーからの聞き取りを終え、他に2施設からの内諾を得ている。今後、インタビュー調査を中心に研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、アンケート調査については、全国の特別養護老人ホームから47都道府県ごとに各25施設を無作為抽出し、1175施設に調査票を配布し、介護職員2名への調査を実施し、その結果について分析を行った。今後は、日本ソーシャルワーク学会第33回大会(2016年7月、発表標題:特別養護老人ホームにおけるケアワーカーの看取り介護の実践と教育の実態に関する量的調査研究)、日本社会福祉学会第64回大会秋季大会(2016年9月、発表標題:特別養護老人ホームにおけるケアワーカーの看取り介護の実践と影響要因に関する実証的研究)において研究成果を報告する予定である。 インタビュー調査については、3つを中心に行っていく予定である。(1)これまでに行ったインタビュー(大阪府の特別養護老人ホームにおいて2名のケアワーカーおよび東京都の特別養護老人ホームにおいて2名のケアワーカーに実施)の逐語記録の分析、(2)前年度に引き続き、関東・関西圏における特別養護老人ホームのケアワーカー10名程度インタビュー調査を実施、(3)インタビューで得られた結果を分析し、学会発表および学会誌において研究成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、量的調査における分析において、当初購入予定であった分析ソフトの購入が必要ではなくなったことと、インタビュー調査において、研究代表者の勤務地近郊で実施可能になったことにより、旅費が抑えられたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、インタビュー調査を中心的に行うため、そのための旅費、インタビュー協力者への謝礼金、分析するための逐語記録依頼のための謝金等のために使用する予定である。また、研究成果の学会発表を行うため、出張旅費に多くの費用がかかることが予測される。その他、研究の打ち合わせや会議等にも研究費用を用いる予定である。
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