研究課題/領域番号 |
26380779
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
木村 真理子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (00266462)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 脱施設化政策 / 包括的支援 / コミュニティケアシステム / 重度の精神障害 / 予防的精神保健 |
研究実績の概要 |
本年度は、北米、特にアジアからの移住人口を多く抱えるカナダ西海岸の精神保健サービスシステムおよびアジア太平洋地域のソーシャルワーク実践分野での精神保健関連情報収集を行うとともに、日本の脱施設化政策への政策展開の内容を精査し、阻害要因および促進に必要な対応策を検討した。 また、2月にBC州の精神保健システムを実際に訪問し、情報収集を行った日本の精神保健福祉・医学専門職から情報収集を行い、日本での実践状況との比較について、協議を行い、問題点や課題を抽出した。 同時に日本の現在の政策を前提として、脱施設化を促進する方法の具体策を、現状での実践事例を踏まえると同時に、将来に必要な検討事項を抽出した。 同時に収集した脱施設化の事例をもとに歴史的検証を行った学術文献をレビューすることで、アメリカ合衆国の脱施設化の流れとそれに伴う課題等も同時に概観した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、主としてカナダのBC州およびオンタリオ州の脱施設化政策における計画実施過程を把握した。同時に、計画実施途上で生じる課題についてあらかじめ想定し、かつ講じた対応策等についても情報収集を行った。時系列的に、いつまでに何をどのように達成して、脱施設化政策を実現させるか、その内容定義についても検討を行った。 さらに、政策実現の過程で生まれた成果、地域の支援システムに関する整備、地域精神保健システムの内容や制度の開発によって生まれた新たな地域ケアシステムのモデルを明らかにした。 一方で、従来の施設はどのような形で閉鎖もしくは縮小に至らせたのか等についても情報の収集と概要把握に努めた。 一方、日本で現在進行中の精神医療施設の地域施設への転換、名称変更、政策的誘導とその進行状況については、進行中であることもあり、まだ十分その結果を同定するに至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、さらに脱施設化を完了した地域を複数抽出して、政策の内容、実施計画と実施の過程、および完了後の状況、その後の精神保健政策の実施状況および内容等について更なる情報収集に努め、新たな知見を抽出する。 また、日本の病院内施設の再利用の政策内容を批判的に検証し、日本と欧米諸国の精神保健政策における脱施設化の方策および実施主体、これらの政策への予算措置等も含めて対照しながら、検証を行う予定である。
|