本研究は40年をかけて2000年初頭に変革を遂げたカナダの脱施設化政策の過程を概観した。1970年代の時点から徐々に地域資源への財源投入と整備、当事者の関与を可能にする政策の推進、精神病院の運営主体の移管、精神病院機能の転換、精神保健の政策理念の変容が明らかにされた。地域精神保健システムの整備とサービスの進展とともに、重度の精神障害への支援に重点が置かれた精神保健政策には精神保健政策の焦点のシフトも認められた。精神保健政策の中心は市民の精神保健プロモーション、精神保健サービスと嗜癖への支援、若年者と高齢者への支援、多文化をもつ人々への支援へとシフトし精神病へのスティグマ除去の推進も含まれる。
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