研究課題/領域番号 |
26380786
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岩崎 香 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20365563)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 意思決定支援 / 権利擁護 / 成年後見 / 障害者福祉 / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
知的障害者、精神障害者の中には、判断能力が不十分な人たちがいる。そうした人たちの財産管理と身上監護に関しては、成年後見制度の利用が考えられてきたが、近年、虐待事例や強制的な入院に関する意思決定支援の方法としても成年後見制度が注目されている。しかし、成年後見制度はまだ十分に周知・活用が進んでおらず、制度としても多くの課題を抱えている。そこで、本研究は判断能力が十分でない障害者が成年後見制度を利用する際の身上監護に着目し、①意思決定支援の具体的な方法論や基準の明確化、②意思決定にかかわる人材の育成を目的としている。今年度は、先行研究の整理と公益社団法人東京社会福祉士会権利擁護センターぱあとなあ東京会員を対象として実施した調査結果の分析を行った。 成年後見制度は成年被後見人の自己決定を尊重することをその理念として掲げている。成年被後見人の意思をどこまで尊重してかかわっているか、後見実務を行う上での困難等に関して、東京社会福祉士会ぱあとなあ会員358名を対象として実施したアンケート調査結果(有効回答147、回収率41.1%)を見てみると、意思決定の具体的な支援は、非常に個別性が高いことが理解された。特に意思決定に課題を要すると考えられる精神障害者を対象とした支援では、身上監護面で約7割が困難があると回答しており、自由記述の分析から、その困難の内容が予想以上に多様であることが明らかとなった。 現在先行研究に照らしながら、その詳細な分析を進めている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば、海外の実践例を含めた先行研究レビューを終了し、法律家や精神科医、ソーシャルワーカー等、意思決定支援にかかわる専門職へのインタビューを実施する予定であったが、未だ先行研究の整理を行っている途上であり、個別インタビューを実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの到達点を明らかにし、障害当事者や家族らが成年後見制度及び意思決定権に関してどの程度認識しており、人権という視点から何を求めているのかに関して調査を実施する。その結果を踏まえ、意思決定支援を実践するための具体的な枠組み(ガイドライン及びチェックリスト等)を作成し、活用に関する研修を開催する。さらに研修においてその有効性の検証を行い、障害者の意思決定支援に役立てられるようなツールを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査を実施する予定であったが、実施できなかったため、費用を翌年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
障害者の意思決定支援にかかわる専門職にインタビュー調査を実施する。その調査での専門的知識の供与に関する謝礼とインタビューの文字起こし(業者委託)に使用する予定である。
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