研究課題/領域番号 |
26380788
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研究機関 | ヤマザキ学園大学 |
研究代表者 |
川添 敏弘 ヤマザキ学園大学, 動物看護学部, 准教授 (20439748)
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研究分担者 |
山川 伊津子 ヤマザキ学園大学, 動物看護学部, 講師 (10618482)
堀井 隆行 ヤマザキ学園大学, 動物看護学部, 講師 (90618480)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重度知的障害者 / 発達障害 / 動物介在療法 / 行動分析 / 問題行動 / アニマルセラピー |
研究実績の概要 |
本研究では、不適切な様々な行動を「問題行動」カッコ付きで定義した。その理由は、問題行動は当事者の訴える行動であり、施設職員は「行動の問題」と捉えて介入しているからである。 アンケートにより、「問題行動」に対する施設職員の意識の高さについて理解することができた。また、半構造化面接法によるM-GTAを用いた手法により、施設職員の「問題行動」に対する行動プロセスを明らかにすることができた。これらの結果より、支援者の介入がどのように行われているか明らかになった。 近年の多くの「問題行動」への介入は機能分析が用いられる。しかし、その手法は熟達した知識が必要であり、施設職員やボランティアによる介入は困難である。そこで、本研究では専門知識を必要としない古典的条件付けを用いた介入を実施していった。まずは、過剰な刺激を除去した環境の「象徴」としてイヌを用い、自発行動が生じることを“待つ支援”を行ってきた。“イヌをなでる”という自発行動が出現し、徐々にイヌとの交流が深まっていく。その結果、苦手な場面に直面することが可能となり(条件性情動反応)、不適切行動の原因が明確でなくても「問題行動」を修正することが可能となった。 また、事例研究に並行し、行動分析を用いた“イヌをなでる”といった自発行動が出現しやすい環境をどのようにつくるとよいか6つの検証を行った。その結果、ヒトが干渉を控えた介入(待つ支援)が自発行動を引き起こしやすいことがわかった。 本研究では、ある象徴の存在下での“待つ支援”により自発行動が促され、「問題行動」が減少することがわかった。その象徴を利用することで「問題行動」が生じる場面でも適切な行動を獲得することが可能になることがわかった。そして、重度最重度知的障害者入所施設で生活する不適切な行動を有する施設利用者に対する支援や療育のあり方のひとつの方法を提案できたと考えている。
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備考 |
重度知的障害を伴う発達障害者の「問題行動」改善を目的とした動物介在介入の試み ―行動分析を視点として― 川添敏弘 横浜国立大学 環境情報学府 博士論文(学術)平成29年3月24日
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