研究課題/領域番号 |
26380789
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研究機関 | 山梨学院大学 |
研究代表者 |
竹端 寛 山梨学院大学, 法学部, 教授 (90410381)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 権利擁護 / 社会起業家精神 / コミュニティソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
コミュニティソーシャルワーカー(CSW)が重視すべき権利擁護課題や、社会起業家精神について、調査研究の中で多くの示唆を得られ、また研究成果について、学会発表や査読論文等でまとめることも出来た。 理論研究においては、今回の研究テーマに関する研究報告として、7月に韓国で開かれた社会起業家に関する国際会議において口頭発表を行い、国内学会発表2本、査読論文1本、共編著1冊を出すことが出来た。 この中で、CSWは「テクノクラート」の下請け仕事として結果的に<自由の閉塞性>にも荷担することも出来れば、その限界を乗り越え、「いまだ語られていないナラティヴ」に耳を傾け、<自由の可能性>を追求することも出来る、両義的な存在である、と整理が出来た。その上で、実際に「いまだ語られていないナラティヴ」に耳を傾ける自治体の実践を「御用聞き」という視点から整理し、それがどのように社会起業家精神や権利擁護とつながっているのか、を検討する論考も行った。 また調査研究においては、ニューヨークの精神障害者の地域生活支援拠点であるempowerment centerおよび、ニューヨーク市立大学ハンター校のJames Mandiberg先生を訪問し、エンパワメントとリカバリーの関係性や、エンパワメントを重視した権利擁護支援とは何か、それをコミュニティで展開する時に、どのような社会起業家精神が必要不可欠となるのか、について、大きな示唆を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目において、理論的課題を査読論文や編著、あるいは口頭発表にまとめることが出来ると共に、2月のニューヨーク調査において、今後検討すべき課題が明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
2年目においては、コミュニティソーシャルワークの課題を理論的にも検討すべく、6月に香港で開かれる予定のアジアのコミュニティワーカーの国際会議に出かけ、諸外国の課題も含めて、情報収集につとめ、アジア各地のワーカーや研究者との議論を深めるつもりである。 また、調査研究においては、9月にフィンランドとイタリア調査を予定しており、権利擁護や社会起業家精神をコミュニティソーシャルワークにどう結びつける事が可能か、そこに必要不可欠な「対話性」とはなにか、を明確にしたい、と考えている。また、その関連論文もいくつか執筆予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月のニューヨーク調査のテープ起こし代を10万円と見積もり、その金額を残しておいた。ただ、業者による仕上がりが、4月に繰り越された為、その分の支払予定金額が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年4月にテープ起こしが完了し、次年度使用額とほぼ同額の請求が来たため、適切に執行予定である。
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