研究課題/領域番号 |
26380790
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
宮嶋 淳 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00454299)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高度生殖医療 / 社会的排除 / ソーシャル・インクルージョン / ニュージーランド / 医療福祉 / セルフヘルプグループ |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き日本とニュージーランドのフィールドワークとインタビュー調査を実施した。とくに高度生殖医療の利用者のおかれた社会的状況とそれに伴う心理に焦点をあて、当事者が社会的排除に直面していないか、その可能性を探った。その結果、当事者はセルフヘルプグループを組織し相互支援を行い、かつ相互支援のうちに教育的機能を備えようとしていることが明らかになった。教育的機能は、自らの立ち位置を社会的に向上させ、ソーシャル・アクションを促進していた。ただし、そこに至る経緯は複雑多様で、相当程度の時間が必要であることも確認され、わが国の現状のように「法や社会的合意がなされていない」状況が長く続かないほうが、当事者の福祉にかなう可能性が高いことが示唆された。 本研究に関連する学会の研究活動にも注目し、日本生殖医療学会、看護学会、日本医療ソーシャルワーク学会などの学術集会・大会に参画したところ、医療から当事者福祉への働きかけは確認できるものの、福祉から当事者支援への働きかけは、報告者の研究発表を除いて稀有であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニュージーランドにおける関連調査をほぼ終了し、収集した資料やインタビューデータの分析を行い、次年度、確認調査を行なう可能性はあるが、研究成果を取りまとめる段階にきている。 国内調査においても、高度生殖医療を利用する当事者団体代表等へのインタビュー調査を終え、福祉系学会における口頭発表等一部研究成果を公表している。 ソーシャル・インクルージョンと生殖医療に関する理論的研究は、1980年代以降の歴史と言説に着目して順次進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度においては、研究成果を早い時期に取りまとめ、補足調査を行い、学会発表、報告書の作成、報告者のホームページへの掲載など社会的責任を果たしたい。また、インタビュー調査等に協力頂いた高度生殖医療の利用当事者等への成果の還元を図りたい。
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備考 |
勤務校が開設するホームページ上にある1つのコーナー。教育・研究・社会貢献について随時報告を掲載している。研究においては、学会発表で活用したレジュメや資料も掲載している。 当該ホームページの内容は、年次報告書『宮嶋研究室のあゆみ』としてとりまとめ、ISSN:2189-2504を取得して公刊している。
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