本研究では、高度生殖医療により生まれた子どもの「出自を知る権利」の擁護を、ソーシャルワークの働きかけによって如何に行うかという実践と社会構築のための理路を探求した。生まれた子が「出自を知る」ための権利を擁護するためには「子どもとその親となる者の思い」を排除しないことが肝要である。 NZでの発見は、マオリとパケハなど「生まれ」によって区分されてきた人びとの権利を、歴史を遡り擁護することが政策化させていたことである。NZのように時間を遡り、人権が擁護されるシステムをわが国が受け入れ、容認できるならば、生殖ケアが機能する、「出自」を特別視する必要がない社会が実現するだろう。
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